アメリカ国民の4人に1人が不買運動を実施中 ショッピングから旅行まで、行動で示す信条
米国で商品ボイコット(不買運動)が大きなうねりとなっている。オンライン融資市場を運営するレンディング・ツリーの最近の調査では、米消費者の4分の1が、過去に買ったことのある商品やその企業をボイコット中だ。ニューヨーク証券取引所で2008年7月撮影(2022年 ロイター/Chip East)
米国で商品ボイコット(不買運動)が大きなうねりとなっている。オンライン融資市場を運営するレンディング・ツリーの最近の調査では、米消費者の4分の1が、過去に買ったことのある商品やその企業をボイコット中だ。
理由は政治信条の違いや社会問題に対する企業の姿勢、環境への影響を巡る懸念などさまざま。人々は声を上げるだけでなく、消費行動で抗議の姿勢を表明するようになった。
レンディング・ツリーの首席クレジットアナリスト、マット・シュルツ氏は「人々はここ数年、政治姿勢を行動に移すことに前向きになったため、ボイコットを行う人の数は多い。意見を聞き入れてもらうための有効な方法の1つがボイコットだ」と語った。
ボイコットは目新しい話ではない。実際、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に殺害された後、2020年夏にレンディング・ツリーが実施した調査では、ボイコットを行っている人の割合が今よりさらに大きかった。
今年4月に2100人以上を対象に実施した最新調査では、何らかの商品あるいは企業をボイコットしている割合が最も高いのは年収が6桁台の消費者で、この層の37%がボイコット中だった。続いて10代後半から20代前半のZ世代(32%)、20代後半から40歳ぐらいまでのミレニアル世代(28%)の順となった。
これらの層は31%が民主党支持者で、24%が共和党支持者だ。
ボイコットは旅行先にも及んでいる。調査では、法的・政治的相違を理由に特定の州や国を旅行先から外している、と答えた割合が24%に達した。
非営利組織向けのブランディング代理店、ロージーの創業者であるエイドリアン・ライト最高経営責任者(CEO)は「これらの数字に意外性はない。人々は、どこでお金を使うべきで、どこで使うべきでないかを、より強く意識するようになっているからだ」と述べた。
「集会や行進も良いが、集会では望む結果は得られない。世界を前に進めるためには、いかに効果的にトラブルを起こすか、いかに創造的に戦術を進めるか考えなければならない」という。
例えば、トランプ前政権時には「グラッブ・ユア・ウォレット(財布をつかめ)」と銘打った活動組織が、ボイコットすべきトランプ氏関連の企業を一覧表にまとめた。「トランプ政権が女性、移民、非白人コミュニティを次々と標的にしたことへの抗議」が目的だった。
政治的に反対側の動きとして、ウォルト・ディズニーは最近、フロリダ州のいわゆる「ゲイと言ってはいけない」法案に反対したことでボイコットの呼びかけに遭った。