ミャンマー、民主活動家など4人へ死刑を執行 遺体の引き渡しすら許さず
国際社会の声を無視する軍政
4人の死刑判決には国際社会から「執行停止」を求める要望が軍政に多く寄せられたが、ミン・アウン・フライン国軍司令官をトップとする軍政は応じる姿勢を一切見せなかった。
ミャンマーも加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)の2022年の議長国であるカンボジアのフンセン首相も「死刑執行は今後のASEANによる和平・調停の立場をより複雑にする」と警告していた。
この他にも欧米をはじめ国際的な人権団体などからも軍政への「死刑執行停止」要求が高まっていた。
今回の死刑執行を受けて国際世論の軍政に対する非難は一層強まることが予想されるが、
中国を頼みとする軍政は意に介する姿勢をみせていない。
ミャンマー国内に根強く残る反軍政の世論も一斉に反発を強めており、今後軍・警察と反軍政の武装市民組織である「国民防衛隊(PDF)」や国境付近の少数民族武装勢力との戦闘がさらに激化することが予想され、ミャンマー問題の事態打開への道筋はますます見えてこない状況になったといえる。
[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など