ロシア、ノルドストリーム1のガス供給さらに削減し8割減へ 戦場越えて影響拡大
ロシアとウクライナが国連などの仲介で穀物輸出を巡り合意したことを受け、25日は週内にも黒海経由の穀物輸出が再開されるとの期待が高まった。写真はガスパイプライン「ノルドストリーム1」。3月撮影(2022年 ロイター/Hannibal Hanschke)
ロシアとウクライナが国連などの仲介で穀物輸出を巡り合意したことを受け、25日は週内にも黒海経由の穀物輸出が再開されるとの期待が高まった。一方、ロシアは欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量がさらに減少すると表明。6カ月目に入ったロシアによるウクライナ侵攻による経済的な影響は、ウクライナの戦場を越えて広まっている。
ロシア産天然ガス、一段の供給減
ロシア国営ガスプロムは25日、ノルドストリーム1について、タービン1基を追加的に停止させるため供給量が減少すると表明。ノルドストリーム1を通した供給量は、27日から日量3300万立方メートルに減少する。供給量は現時点ですでに従来水準の40%に減少しており、今回の発表で現在の水準からさらに半減する。
ロシア大統領府は供給量の減少はメンテナンス作業と西側諸国の制裁措置に起因すると指摘。ただドイツ経済省報道官は、ノルドストリーム1経由のガス供給量が減少する技術的な要因はないとの見方を示した。
また、独シーメンス・エナジーはノルドストリーム1のタービンをロシア側に引き渡す用意が整っているものの、ロシア国営ガスプロムGAZP.MMから必要な税関書類を受け取っていないと明らかにした。シーメンスはタービンのメンテナンスは定期的に行われているが、過去10年間、メンテナンスを巡る大きな問題は起きていなかったとしている。
黒海経由の穀物輸出、週内再開に期待
ロシアとウクライナは22日、国連とトルコの仲介の下、ウクライナに滞留する穀物の輸出再開に向けた合意文書に署名。これを受け、ウクライナ政府当局者はこの日、週内に輸出を再開したいとの考えを示した。
ウクライナ政府当局者はキーウ(キエフ)で行った記者会見で、同合意に基づく穀物輸出が週内にオデーサ(オデッサ)州のチョルノモルスク港から再開され、2週間以内に合意に含まれる全ての港からの輸出が再開できるよう望んでいると述べた。