韓国で外食費の高騰「ランチフレーション」が問題に 冷麺が参鶏湯より高くなる!?
ソウル・南大門市場の輸入商街では、日本からの並行輸入品が数多く売られている。訪日韓国人の土産として人気が高いニチバンのロイヒつぼ膏は1.5倍に値上がりし、日本の雑貨や医薬品を売ってきた店主は、太田胃酸の仕入れ価格が、コロナ禍以前の販売価格を上回ったと嘆息する。日清のカップヌードルは日本国内価格の2倍以上の4000ウォンまで高騰した。
今年3月、大統領選で文在寅前大統領が所属する共に民主党が敗れると、電気やガスなど公共料金が急騰した。ウクライナ紛争を受けて、原油価格が上がるなか政府は公共料金を据え置いた。韓国電力公社は1月-3月期に7兆8000億ウォンに上る赤字を計上したが、大統領選を前に公共料金を引き上げて世論が悪化することを危惧したからだ。
大統領選が終わって規制が緩むと電力公社やガス会社、水道公社は、大幅な値上げに踏み切った。
文在寅前政権の尻拭いだが、前政権批判は控える
尹錫悦(ユン・ソクヨル)新政権は国民の負担を軽減するため、減税策を打ち出している。豚肉や小麦粉、食用油、コーヒー、カカオなど14品目の関税を年末まで0パーセントにする。輸入豚肉の関税は22.5-25パーセントなので、20パーセントほど下がる計算だ。コーヒやカカオは輸入時の付加価値税10%を免除する。
また、個別包装で販売するキムチや味噌、コチュジャン、醤油、豆腐など加工食品の消費税に相当する付加価値税10%を来年末まで免除して、価格の引き下げを誘導したい考えだ。
尹錫悦政権の最初の仕事は、文在寅前政権の尻拭いとなったが、前政権批判は控えている。理由はねじれ国会だ。
昨年のソウル市長補選で国民の力の呉世勲(オ・セフン)市長が当選すると圧倒的多数を占めていた共に民主党の市議らは市政を妨害。市長を批判し、市長の答弁を認めなかった上、市議会で許可なく発言した公務員を議長が退場させることができるという条例を制定した。
国民は共に民主党を否認した。6月1日の党一地方選で保守系の国民の力が圧勝したが、国会は共に民主党が過半数を占めており、新政権が思い切った政策を打ち出しにくい状況だ。
そもそも韓国の商店主は、仕入れ価格などコスト増は価格に転嫁するが、コストが下がっても値下げを行う例はほとんどない。これ以上、値段が上がらないことを願うのみである。