アジアの輸入業者、米国産農産物を敬遠 中国船規制案や貿易戦争で

4月9日、アジアの輸入業者が米国産農産物の購入を減らしている。写真は昨年5月、米イリノイ州ソモノークの大豆農場で撮影(2025年 ロイター/Jim Vondruska)
Naveen Thukral
[シンガポール 9日 ロイター] - アジアの輸入業者が米国産農産物の購入を減らしている。トランプ政権が中国関連船舶に多額の入港料を課す計画を立てていることを受けて、海上運賃が値上がりしていることが背景。
米国の相互関税導入で先行き不透明感が増していることも、米国産農産物を敬遠する原因となっている。
トランプ政権は国内造船業を復活させるため、中国関連船舶に対し最大150万ドルの入港料を課すことを提案。これを受け、米国の輸出業者の間で中国以外の船舶を探す動きが広がった結果、海上運賃が上昇しており、米国産農産物の需要が減少している。
シンガポールのあるトレーダーは「現在のところ、ほとんどの輸入業者は米国から輸入するリスクを取っていない」とし「海運コストは上昇し、貿易戦争には多くの不確実性がある」と述べた。
別のトレーダーは「当社は東南アジアに米国産小麦を輸送するために予約していた船舶の切り替えを目指している。中国以外の船舶を確保するには高い運賃を払わなければならない。今のところ、米国産小麦はお断りだ」と語った。
日本や韓国など伝統的な米国産小麦の輸入国は、今後も輸入を継続する見通しだが、飼料用の米国産トウモロコシ、大豆については、一部を南米産や黒海地域産に切り替える可能性がある。
同トレーダーによると、東南アジアのほとんどの穀物輸入業者は、5月の必要量の約半分をまだ予約しておらず、供給不足に見舞われるリスクがある。
米大豆輸送連合の幹部によると、米国のある大手輸出業者が行った大豆ミールの輸送入札では船舶会社からの応札がなかった。中国船に多額の入港料を課すトランプ政権の計画が影響したという。