私のハンストで浮かび出た日本政治の冷酷
NO BASE FOR HENOKO
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元山は防衛省前でもハンストを行った(5月12日) HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN
<沖縄の基地問題は「仕方のない」ことではない。岸田首相に期待をかけ、151時間に及ぶ抗議行動を行った>
沖縄の統治国がアメリカから日本になって50年。沖縄の現状を体を張って訴えるべく、私は5月9日から東京でハンガーストライキによる抗議を始めた。
水と塩のみを摂取し、岸田文雄首相が以下の要求をのむか、私にドクターストップがかかるまで続けるという条件だった。
その主な要求は①辺野古新基地建設の即時断念、②普天間飛行場の数年以内の運用停止、③日米地位協定の運用に関わる全ての日米合意を公開し、沖縄県を含む民主的な議論を経て見直すことだ。
最終的に5月15日にドクターストップが出て、151時間に及ぶ抗議行動を終了した。沖縄復帰50周年記念式典が行われた沖縄コンベンションセンターに場所を移した後、どんよりと曇る空の下での決断だった。
今回のハンストで感じたのは、残念ながら岸田政権には、沖縄の多くの人が望むように基地問題を解決しようとする意思が見られないことだ。
まず前提として、沖縄の基地問題は「仕方のない」ことではない。軍事的な問題ではなく政治的な問題であることは、安倍晋三元首相や歴代の防衛相、官房長官のほか、ジョセフ・ナイらアメリカ政府関係者も認めている。
例えば1995年に沖縄米軍基地の整理・縮小などを協議するSACO(日米特別行動委員会)設置に米国防次官補として携わったナイは、2014、15年の寄稿やインタビューで「中国が高度な弾道ミサイルを開発するなか、沖縄の基地はどんどん脆弱になる」「沖縄の人々の支持が得られないなら、米政府は辺野古移設を再検討しなければならないだろう」と述べている。
また2018年2月の衆議院予算委員会で安倍首相(当時)は、沖縄の基地負担軽減が困難な理由に「移設先となる本土の理解を得られない」ことを挙げた。つまり「本土の理解」が得られれば、沖縄の基地負担はより軽減される。
さらに言えば、沖縄の理解は得ずに基地建設を強行しても、政権の安定には支障がないということだろう。このように、沖縄の基地問題は政治的に維持され続けている。