最新記事

米政治

いま明かされる、ペンスをめぐる重要事実【トランプ支持者・米議事堂襲撃事件】

2022年6月13日(月)14時00分
ジェレミー・スタール(スレート誌シニアエディター)
ペンス副大統領(当時)

委員会ではペンスが事態収拾の指示をしていたことが判明 JONATHAN ERNSTーREUTERS

<事件を調査する米下院の公聴会で新たな事実が判明。「ペンスをつるせ」の怒号の中、ペンス副大統領は「大統領の務め」を果たしていた>

2021年1月6日の米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別調査委員会は6月9日、トランプ前大統領に扇動された暴動と議会襲撃に関する1年間の調査結果を明らかにする最初の公聴会を開催した。

同委員会のリズ・チェイニー副委員長(共和党)は、バー元司法長官、トランプの娘イバンカと夫ジャレッド・クシュナーを含む主要関係者の新しい聞き取り映像を紹介し、30分間の説明を行った。

映像に含まれる新事実の多くは既に知られている情報を補強・拡張するものにすぎない。

一方、当時のペンス副大統領をめぐる重要な事実も明らかになった。1月6日、暴徒に追われていたペンスが、「大統領の務め」を果たした事実が基本的に確認されたのだ。

チェイニーはまず、「トランプは副大統領をつるせという(暴徒の)主張に肯定的な見方を示していた」という政治ニュースサイト、ポリティコの先月の報道内容を詳しく裏付けた。

「暴徒がペンスをつるせと叫んでいるのを知りながら大統領はこう反応した。『支持者たちの考えは正しいのかもしれないな』。マイク・ペンスは『自業自得だ』」

その直前、トランプは暴動発生前の集会で、ペンスが選挙人団の投票結果の認定を拒否して大統領選の敗北を覆さなければ失望すると語っていた。支持者がペンスの首を取れと叫びながら議事堂を襲撃したときには、「マイク・ペンスはわが国と憲法を守るためになすべきことをする勇気がなかった」とツイートした。

【関連記事】日本人が知らないトランプの現在の力

暴徒が議事堂内に突入した時点で、ペンスは安全な場所に避難していた。

大統領のトランプには、秩序を回復し、暴徒を退去させる義務があった。だが実際には、最終的に議会議事堂の治安を回復することになる州兵に出動命令を出したのはペンスだったことが、今回明らかになった。

チェイニーは1カ月に及ぶ公聴会で、事件当日のトランプが大統領として暴動を止めるために何もしなかったことを明らかにすると述べた。

ペンスが対応を指示していたことは新たに判明した情報だ。

「トランプ大統領は暴徒に議事堂から去れと告げるのを拒否しただけでなく、議事堂を守るよう指示するために政府のどこにも電話しなかった」

チェイニーは次に、ペンスの危機対応を説明するマーク・ミリー統合参謀本部議長の映像を流した。

【関連記事】トランプ支持に翳り? 久々の演説なのにQアノンが「もううんざり」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中