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米経済「米インフレ率は9%もありうる」──著名債券ストラテジスト
Inflation to 'Get Worse' Even After Hitting 40-Year High: Allianz Adviser
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確度の高い経済予想で知られるエアリアン(写真は2017年) Lucy Nicholson-REUTERS
<40年ぶりの高い水準に達したアメリカのインフレ率は「ピークアウト」に近い、という市場の希望的観測をモハメド・エラリアンは否定した。インフレはまだ悪化する、輸入物価が上がり始めたとき、FRBの対処が遅れたからだ>
著名な債券ストラテジストで独金融大手アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアンは6月12日、インフレは「まだ悪化する」と警告し、米経済の行く末について自説を展開した。
CBSテレビの番組「フェイス・ザ・ネーション」に出演したエラリアンは、インフレがおさまるかもしれないという声もあるが、それは「見当違い」なのか、それとも「現在の経済の状況を把握することがいかに難しいかを表しているのか」と問われ、「両方だ」と答えた。
Allianz Chief Economic Adviser El-Erian warns of worse inflation: "I fear it is still going to get worse. We may well get to 9% at this rate." pic.twitter.com/aYNOow92NZ
— Face The Nation (@FaceTheNation) June 12, 2022
「当初は、インフレが一時的なもので、すぐに元に戻るという希望があった。すでにピークを超えたという希望的観測もあった。私はそうした見方に同意したことはない。今回のインフレの行方について、われわれが持っている知識を過信してはいけないと思っている。このままではインフレ率が9%になってしまうかもしれないと危惧している」
米労働統計局が10日に発表したデータによれば、アメリカの生活費は数カ月連続で上昇しており、5月のインフレ率は前年同月比で8.6%に達した。「1981年12月以来、最も高い上昇率」だという。
4月のインフレ上昇率は8.3%で、40年ぶりの高水準を記録した3月の8.5%よりは減速したこともあり、エコノミストたちは5月のインフレ率を8.2%と低めに予想していたし、価格上昇はロシアのウクライナ侵攻の影響を受けている食品とエネルギーが中心だとも考えていた。
必需品高騰が家計直撃
だが、今回のインフレには程度国内要因が絡んでいるのかという質問に対して、エラリアンは 「インフレは主に輸入品から始まったが、FRB(米連邦準備理事会)はすぐ反応しなかった」と述べた。現在のようなすさまじいインフレに対処する方法はふたつに一つしかない、とエラリアンは言う。「景気後退のリスクを冒しても強くブレーキをかけるか、ブレーキ踏まずにインフレを必要以上に長引かせるか、だ」
エラリアンはまた、このインフレがアメリカ経済にどう影響するかについても話した。「このインフレはすべてのアメリカ人を苦しめているが、特に貧しい人々への打撃が大きい。またインフレが長引けば長引くほど、需要崩壊の危険が高まる。つまり、平均的なアメリカ人が物価上昇の影響で支出を減らすようになる。これは望ましい状況ではない」と述べた。
エネルギーと食料の価格は、5月までの12カ月間で大幅に上昇した。エネルギー価格は前年比で34.6%も上がり、「2005年9月以来、最大の上昇率」になったという。
このインフレにどう対処するかについてジョー・バイデン大統領は5月、「大企業と富裕層に公平な負担を求めることで連邦政府の赤字を減らす」と言っている。
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