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日本に避難した20代ウクライナ女性が「新戦力」に 都内のロシアンパブ大盛況が突きつける課題

2022年6月22日(水)11時29分
元木昌彦(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

ロシアがウクライナに侵攻したのは2月24日。その前の21日に、NEWSポストセブンは錦糸町のロシアンパブで働いているウクライナ人女性をインタビューしている。当時、プーチン大統領はウクライナに侵攻しない、国境に配備した軍は一時撤退させるといっていたが、彼女は、「ロシアを信用するウクライナ人はいません」と語っている。

「何度も奪われました、また奪おうとしてる」

「ロシアはそういう国です。ウクライナはいじめられて、奴隷にされたこともあります」
「何度も奪われました、また奪おうとしてる」

彼女はウクライナの日本語学校に通った経験もある国立大学卒のエリートだという。

その後、シングルマザーとなり、紆余曲折を経てコロナ禍より以前に来日した。彼女の所属する店も「ロシア美女」を広告の煽りに使っているがロシア人は少ないそうだ。

「ウクライナ人と言ってもロシア人と一緒にする人は多いです。仕方ないです」

嫌いなロシアの名がついたパブで働くことに抵抗感はあるのだろうが、その店はデリバリー形式だから、他の女性と会うことも少ないという。パブでデリバリー? ヘルスというのはあるが、それではあるまいな。

「彼女の来日の理由は就職とお金だが、在留できている理由はあえて問わなかった。芸能や日本の企業就職、外国人講師など『在留資格認定証明書』は様々な形で交付される。『招へい人』と呼ばれる身元保証人のような形もある。残した家族のために異国で生きるとは並大抵のことではない」(NEWSポストセブン)

難民ではなく「避難民」とする日本政府の問題

日本人の大多数はロシア嫌いだといわれるそうだ。そのロシアからいじめられているウクライナ人はかわいそう、助けてやらなくてはと考える日本人は多いはずだから、彼女たちを雇えば客は来る。

私たちはウクライナ女性たちを助けている、皆さんもボランティアのつもりで飲みに来てくれませんか。そんな"商魂"が透けて見えてくる。

先の新潮の記事は、週刊誌によくある風俗探訪記事だが、私は、ここには大マスコミが書かない問題がいくつも隠されていると思っている。

一番重要な問題は、日本政府が"難民"とはせずに"避難民"とした欺瞞的なやり方である。

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