中国からあの米同盟国まで ロシアを支持・支援する国は世界人口の半分以上
THE WEST VS. THE REST
メキシコも、アメリカやカナダと並んで北米3カ国が一致してロシアを非難することを拒んだ。そして政権与党の「国家再生運動」は、侵攻後の3月下旬にメキシコ・ロシア友好議員団を立ち上げている。
そこまでロシアに傾く背景には、1970年代からの左派系反米思想の余韻があるのかもしれない。ロシアにとっては、新たに西側陣営に不和の種をまくチャンス到来だ。
「その他の国々」の総人口は世界の半数を超えるが、途上国が多いので経済力は乏しい。経済力や地政学上の影響力で考えれば、西側諸国は「その他の国々」をはるかに上回る。
それでも、今の戦争が終わった後に出現するであろう新たな世界秩序には、「その他の国々」の強烈な存在感が刻まれるはずだ。
その中核には中国とインドがいて、おそらくはロシアの居場所も守られる。
一方、アメリカはヨーロッパにおける軍事的プレゼンスを増すことになる。ロシアと地理的に近いNATO加盟国に、米軍が常駐する可能性も否定できない。
皮肉なもので、NATOの東方拡大を阻止したくてウクライナに侵攻したプーチンは、かえってNATOの結束を固めることになった。スウェーデンやフィンランドのNATO加盟も現実味を帯びてきた。
だがロシアがプーチンのものである限り、NATO陣営はロシアの封じ込めを続ける。プーチンの引退後も「東のロシア対西のNATO」という構図は変わらないだろう。
しかし21世紀の今、そうした東西冷戦の構図が再現できるものだろうか。
いわゆる「その他の国々」は、どちらの陣営に加わることも拒むだろう。そして新たな「非同盟」諸国が出現し、いくら欧米がプーチンをのけ者扱いしても、ロシアとの関係を維持することになるだろう。
このままならロシア経済は一段と疲弊し、中国に頼るしかなくなる。
それでもロシアはロシアだ。ロシアに嫌われたくない「その他の国々」は、きっとたくさんある。
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