中国からあの米同盟国まで ロシアを支持・支援する国は世界人口の半分以上
THE WEST VS. THE REST
(左から)インドのモディ首相、サウジアラビアのムハンマド皇太子、イスラエルのベネット首相 FROM LEFT: LISI NIESNER-REUTERS, BAHRAIN NEWS AGENCY-REUTERS, MENAHEM KAHANA-POOL-REUTERS
<透けて見えるのは21世紀版「冷戦」の構図。ロシアのウクライナ侵攻を批判しない国、それぞれの思惑とは>
ウクライナ侵攻の決断に当たり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4つの大きな計算ミスを犯した。
ロシア軍の実戦能力を過大評価し、ウクライナ人の抵抗と反撃の意思を過小評価した。
ロシアを敵に回すのを恐れて西側諸国の足並みが乱れると踏んだのも、欧米主導の広範な(つまり金融・貿易だけでなくエネルギー分野も含む)経済制裁にアジアの国々が同調しないと想定したのも間違いだった。
だが正しかった計算もある。西側諸国を除く「その他の国々」がロシアを非難し、あるいは制裁に加わることはないという読みだ。
ロシアの侵攻初日に「西側」代表の米大統領ジョー・バイデンは、これでプーチンは国際社会の「嫌われ者」になると述べたが、世界の多くの国は今もプーチンを嫌っていない。
この10年で、ロシアは中東やアジア、中南米、アフリカ諸国に急接近した。1991年のソ連崩壊後に一度は撤退した地域だ。
また8年前のクリミア併合後は、とりわけ中国に擦り寄ってきた。西側諸国はロシアを孤立させたかったが、中国はロシアを支持し、シベリアと中国東北部を結ぶパイプラインでロシアから天然ガスを供給する契約も結んだ。
国連総会ではこれまで、ロシア非難決議とウクライナ人道支援決議、国連人権理事会からロシアを追放する決議が採択された。
だが棄権や反対票を投じた国々の人口を足すと、世界の総人口の半数を超える。
つまり、世界中がロシアの侵攻を不当と見なしているわけではない。ロシアを罰することを望んでいるわけでもない。
むしろ、この状況に乗じて利益を得ようとする国もある。そういう「その他の国々」は、プーチンのロシアとの関係を損ないたくない。だから今の戦争が終わった後も、西側諸国の頭痛の種となる。
「その他の国々」の代表格は、もちろん中国だ。ロシアが何をしようと中国は支持するという確信がなければ、プーチンもウクライナ侵攻に踏み切れなかったはずだ。
北京冬季五輪に合わせてプーチンは訪中し、2月4日に共同声明を発表していた。そこでは両国が「無限の」友好を維持し、西側の支配に対抗する姿勢が強調されていた。
中国の駐米大使は、習近平(シー・チンピン)国家主席がプーチンと会談した際にウクライナへの侵攻計画を知らされていたとの報道を否定しているが、真偽の程は誰にも、永遠に分からない。