現在アメリカで大麻合法は18州+特別区、違法州にも広がる「大麻成分入り」キャンディ&グミの危険性
ニューヨークの展示会で展示される「大麻成分入り」キャンディ Mike Segar- REUTERS
<2012年以降、娯楽目的の大麻がどんどん合法化されているアメリカ。専門店でしか買えないはずだが、通常の小売店で、大麻成分入りのキャンディやグミを買った子供が病院に担ぎ込まれるケースが急増している>
アメリカの街を歩いていると、たまに何かが焦げたような独特の匂いが漂ってくることがある。この匂いの正体は、マリフアナ(大麻)だ。日本では考えられないが、アメリカでは公園やスーパーの駐車場、イベント会場など、ありとあらゆる身近な場所でこの匂いに遭遇する。
1996年にカリフォルニア州で初めて医療用大麻が合法化されて以来、アラスカ州、オレゴン州、ワシントン州などを筆頭に次々とほかの州も医療用大麻の解禁に踏み切った。
その16年後の2012年11月には、ワシントン州とコロラド州が娯楽目的での嗜好用大麻を全米で初めて合法化した。筆者はワシントン州のシアトル在住なので、解禁された当時、アメリカ人の友人たちが「大麻が合法になるなんて、まるで夢みたいだ!」と狂喜していたのを今でも覚えている。
この2州を皮切りに、嗜好用大麻を解禁する州も増えていく。現在、医療用・娯楽用ともに合法的に大麻が販売されている州は:
・アラスカ州
・アリゾナ州
・カリフォルニア州
・コロラド州
・コネチカット州
・イリノイ州
・メイン州
・マサチューセッツ州
・ミシガン州
・モンタナ州
・ネバダ州
・ニュージャージー州
・ニューメキシコ州
・ニューヨーク州
・オレゴン州
・バーモント州
・バージニア州
・ワシントン州
――の18州、およびコロンビア特別区(首都ワシントン)である。
州によって規定が違うが、21歳以上であれば「ディスペンサリー」と呼ばれる大麻販売店で大麻を合法的に購入でき、所持したり使用しても罪に問われない。州によっては、個人での栽培も許可されている。
なお、大麻を吸うことは公共の場では許されておらず、自宅やプライベートな空間でのみ合法である。
鳴り物入りで解禁された大麻ビジネス、その市場は急成長を遂げている。マリフアナ・ビジネス・ファクトブックの最新の統計によると、合法大麻の小売総額は2022年には330億ドルを超え、さらに2026年までには520億ドルを超えると推計されている。
大麻関連産業の経済効果の総額は2026年には1580億ドルに近づくとされ、日本円にすると20兆円を超える凄まじい数字になる。
きっかけは2018年、産業用大麻の栽培が全米で合法化
しかし、沸き立つ活況の影で、子供の安全性をおびやかすニュースが後を絶たない。
大麻成分の入ったキャンディやグミが近所のコンビニなどで販売され、それと知らずに誤って食べた子供が救急病院に担ぎ込まれるケースが急増しているのだ。なかには、それにより命を落としたとされるケースも報告されている。