ミャンマー、軍政主導で水かけ祭り復活も国民はボイコット 国内各地で戦闘続く
お祭りを子供も女性も楽しんだあの頃はまた戻ってくるのか Soe Zeya Tun / REUTERS
<パンデミック以後、中止されたお祭りが復活したものの、今も各地で戦闘は続き......>
ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍司令官率いる軍政は4月13日、中心都市ヤンゴンや第2の都市マンダレーなどで国民的行事である「水かけ祭り(ティンジャン)」の式典を開催して、歌手やダンサーによる歌や踊りのイベント後、軍政支持者らと共に放水をして旧正月を大々的に祝った。
しかし軍政に反対する民主派勢力や軍政の弾圧を恐れる市民らは「官製水かけ祭り」に反対を表明して参加を拒否した。市民が総出で路地や通りでお互いに水をかけ合う賑やかなお祭りは各都市から姿を消した。
4月13日は太陰暦に基づくミャンマー暦の正月にあたり、1年間の罪穢れや厄を水で流れ落とすとの意味が込められているという。
同じような水かけ祭りはタイやベトナムでも行われている。特にタイでは「ソンクラン」として知られ、例年外国人観光客も参加して大々的に行われ世界的にもニュースとなるが、タイはコロナ感染拡大防止策の一環として今年のソンクランを中止している。
今回ミャンマーでは中部の都市マンダレーなど複数の地方都市で「水かけ祭り反対」や「反軍政、民主政権復活」などを唱える学生らのデモがあったというが、軍の弾圧を恐れ小規模、短時間のデモだったという。
ヤンゴン市内の官製水かけ祭りの会場となった中心部のスーレーパゴダ周辺には軍が部隊を配置して厳重警戒態勢をとったため、特に混乱はなかった。
同様にヤンゴン市内の一部地域では子供たち数人が通行人に水をかける様子が見られたというが小規模で短時間だったという。
地方で続く軍と民主派の戦闘
こうしたなか、ミャンマー国内では国軍と民主派の武装市民抵抗組織「国民防衛隊(PDF)などとの戦闘が相変わらず続いている。
水かけ祭りの当日である4月13日にはタイとミャンマーを結ぶアジア・ハイウェイで国軍と東部カヤ州の「カレンニー国民防衛隊(KNDF)」が激しい戦闘状態になっていると反軍政を掲げる独立系地元メディアは伝えている。
同じく13日午前9時半ごろ、ヤンゴン地方域バハン郡区にあるボ・セイン・マン競技場近くでは兵士に爆弾を設置した疑いをもたれた若者3人が発砲を受け、1人が死亡、2人が逮捕される事案も起きている。