ウクライナ侵攻反対なのに「白い目」 在外ロシア人の苦難と不安
ニュースサイト「アイファクト」のデータでは、過去1カ月間に、ロシア人によるジョージアでの会社登記件数が1000件を超えたという。また、トビリシのシェアオフィスは大賑わいだ。
オフィス賃貸会社のIWGでトビリシ地域担当責任者を務めるルスカ・チャクベタゼ氏は、2月から3月にかけてデスクの注文が3倍に増えたと語る。
不確かな未来
とは言え、多くのロシア人にとって、他国での暮らしの展望は不透明だ。
クストワさんはトビリシに到着してから1カ月以上、息子を受け入れてくれる学校を見つけられなかったという。
やはり自国を離れた多くのロシア人が向かったイスタンブールでも、有効な在住許可がないため、銀行口座の開設が難しくなっているとの報告もある。ビザ無しで入国した場合、滞在が認められるのは最長90日だ。
トルコは対ロシア制裁に反対しており、自国内では制裁を行っていないにもかかわらず、クレジットカードが使えなくなったために宿泊先を見つけるのに苦労している人もいる。
さらに別の国へと移動を重ねることを検討している人もいる。
ロシアの地方ニュースサイトで働くジャーナリストのマキシム・ポリヤコフさん(37)は、「ここに滞在するのはたぶんあと2週間。その後は、欧州連合(EU)内の国に行く」と語る。
「我々のチームでは3─4カ月間、一部のスタッフを(欧州に)移動させることに決めた。何が起きるか誰にも分からないので、以前のように計画を立てるのは無理だ」
サンクトペテルブルク出身で反政権派を支持する教師のイリーナさん(38)は、3月初めに身の危険を感じ、夫と3人の子どもを残してロシアからイスタンブールに逃れた。イリーナさん一家は、第三国で合流して仕事を見つけたいと考えている。
姓は伏せてもらいたいというイリーナさんは、「私たちの国では、すべてが完璧とは言わないまでも、多くのことを変えていけると信じていた。政治や市民社会、市民教育に参加することでね」と話す。
「でも現実を見れば、私たちが間違っていたことは明らかだ。この先にあるのは、不確実性と困難な試練だ」
(Umberto Bacchi記者、Angelina Davydova記者 翻訳:エァクレーレン)
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