ウクライナ侵攻反対なのに「白い目」 在外ロシア人の苦難と不安
先月初め、ジョージアの大手銀行の1つが、口座を開設しようとするロシア人に対し「ロシアによるジョージアとウクライナへの侵攻を非難する」声明に署名するよう求めた。ただしこの要請は後に撤回された。
トビリシの街頭では、活動家らが「レストランや他の活動で役に立つ情報を提供する」とうたうQRコードを印刷したポスターを出している。だが実際にそのコードを読み取ると、ロシア軍が爆撃で破壊したウクライナの様子を表示するウェブサイトへと転送される。
また不動産会社ダズホームズのヌツァ・ネムサジェ氏によれば、新たな移住者による需要が急増したため過去1カ月で市内の家賃が約2倍に上昇する一方で、多くの家主がロシア人向けの賃貸を拒否しているという。
「なぜそんなことをするのか理解できない」とネムサジェ氏は語る。「(ロシア人らは)プーチン氏ではないのに」
ロシア系企業
プーチン政権に対する批判で知られ、服役中の反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏を支持するロシア人エンジニアのオルガ・クストワさん(35)は、ロシア人に対する複雑な感情は理解できるが「いささか礼を失している」とも感じるという。
「一方では、実に分かりやすい。私たちはロシア人で、ロシア人は侵略者だ」とクストワさんは言う。夫、母親、2人の子どもと共にサンクトペテルブルクを離れ、2月下旬に借りたトビリシのアパートで取材に応じた。
「しかしもちろん個人的には、それはあんまりじゃないかと思う。だって、私たちは長年プーチン体制と戦おうとしてきたのだから」
ジョージア政府としては、ロシアからの人材・企業の流出に乗じて長期的な利益確保に努めつつも、ロシア政府を刺激することは避けたい。
ジョージアは制裁に参加しないだけではなく、自国からの義勇兵がウクライナでの戦闘に加わることを阻止しようとしてきた。また、政府の承認なくウクライナ支持を呼び掛ける外遊を試みた自国の大統領を提訴することをちらつかせている。
先週は「ウクライナやロシアで活動している多くの国際的企業に、(略)事業拠点をジョージアに移転するよう説得する多大な努力が行われている」というダビタシビリ経済大臣の発言が報じられている。