ロシアのウクライナ侵攻、Z世代はTikTokで戦争最前線を体験
ボリックさんはロイターへのメールで、ロシアの行動がウクライナ人を傷つける戦争ではなく単なる「軍事作戦」であるかのように伝えるロシア系ニュースの虚偽情報に対抗したいと思っていると語った。
ティックトック上では、ウクライナ在住の主要インフルエンサーのページで、ミサイルによって破壊された住宅や、空になった食料品店の棚、ガソリンスタンドの外に延々と並ぶ長い車列といった映像が見られた。
200万人のフォロワーを抱える「@zaluznik」も27日にそうした映像を投稿し、「ロシア人よ、目を覚ませ」というキャプションを添えた。
ロシアのインフルエンサーたちもやはりティックトックを使って、自分たちの意見を共有している。76万3000人を超えるフォロワーを抱えるニキ・プロシンさんは24日に投稿した動画で、ロシアの「普通の人々」はこの戦争を支持していないと話している。
プロシンさんは、「私の友人や、私の直接の知り合いの中に、今日の出来事を支持している人はいない」と語った。
侵攻の映像のようにゲームの映像が拡散
ロシアの通信監督当局であるロスコムナドゾールは28日、ティックトックに対し、軍事関連のコンテンツの多くが反ロシア的であるとして、未成年者向けの「おすすめ」に入れるのを止めるよう要請した。ティックトックにコメントを求めたが、現時点では回答は得られていない。
オンラインでの偽情報に注目する研究者らは、今回の紛争では、虚偽の情報が正しい情報と混在したまま、ティックトックやフェイスブック、ツイッター、そしてユーチューブといったサイトで拡散されていると警告している。
先週の時点で、軍事シミュレータービデオゲーム「Arma3」の場面、ガザ地区でのイスラエル・パレスチナ紛争における爆発の画像、重火器による砲撃の過去の映像、飛行する航空機の動画が、まるでロシアによるウクライナ侵攻の映像であるかのようにSNSでシェアされている。
ティックトックの広報担当者は「引き続き、弊社は状況を注意深く監視する。新たなトレンドに対応し、有害なデマや暴力扇動を含む違反コンテンツを削除するためのリソースを強化している」と語り、同社がファクトチェック団体と提携していると述べた。
ウクライナのティックトック利用者の中には、西側諸国の視聴者と情報を共有し、認識を広げることに使命感を抱く人もいる。
マルタ・バシュータさん(20)は28日に受けたインタビューで「これは冗談ではないと理解してほしい。これはウクライナ人が直面する深刻な状況なのだ」と語った。
バシュータさんがティックトックに投稿した動画の1つには、空を飛ぶミサイルのように見えるものが映り、「キエフ、午前4時23分」というキャプションが付されている。この投稿は28日の時点で13万1000件以上のコメントを集め、この動画に殺到したユーザーたちは、安全を祈るコメントを投稿し、「信じられない」と絶句している。
あるユーザーは「ティックトックで戦争の最新情報を知ることになるとは思ってもいなかった」とコメントしている。
(翻訳:エァクレーレン)
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