最新記事

SNS

ロシアのウクライナ侵攻、Z世代はTikTokで戦争最前線を体験

2022年3月5日(土)14時41分
トルコ・イスタンブールで、戦争に反対するデモに参加する女性

2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵攻。ソーシャルメディア利用者の最若年層の中には、紛争の最前線を、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」上で体験する人もいる。写真はトルコ・イスタンブールで、戦争に反対するデモに参加する女性。2月28日撮影(2022年 ロイター/Dilara Senkaya)

2月24日に開始されたロシアウクライナ侵攻。ソーシャルメディア利用者の最若年層の中には、紛争の最前線を、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」上で体験する人もいる。

窓のないシェルターの中で身を寄せ合って泣き叫ぶ人々や、街なかで生じる爆発、ウクライナの都市に飛来するミサイルの動画が、ふだんはファッションや運動、ダンスの動画が共有されるティックトックを占領した。

ウクライナのSNSインフルエンサーたちは、咲き乱れる花々やレストランで笑う友人といった故郷の平和な思い出を伝える写真と並べて、地下壕で毛布にくるまっている自分の姿や住宅街を走り抜ける戦車など、殺伐とした情景をアップロードした。

彼らはフォロワーに、ウクライナのために祈るよう求め、ウクライナ軍支援の寄付を呼びかけた。特にロシア人ユーザーには、反戦行動に参加するよう求めた。

ウクライナ大統領もティックトッカーに呼びかけ

ティックトックのユーザーの多くは「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代の視聴者だ。ロシアが「特殊軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻という最新の例にみるように、この世代にニュースや最近の出来事を届けるうえでティックトックは中心的な役割を担っている。ティックトックの特徴的なアルゴリズムは、ユーザーが特定の投稿者をフォローしていなくてもトレンドとなっているコンテンツを提供することで有名であり、あるトピックが月間10億人ものユーザーの中であっというまに「バズる」可能性が生まれている。

今回の紛争で同アプリが非常に影響力を持つものになったため、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア国民に向けた演説の中で、戦争終結に貢献できる層として「ティックトッカーたち」に訴えかけた。一部のユーザーはこれに反応した。

旅行をテーマとするブログを発信するウクライナのアリナ・ボリックさんは、ティックトック上で3万6000人を超えるフォロワーを抱えている。彼女はエジプト、スペイン、トルコへの旅行のハイライト動画を投稿するのを一時中断し、ロシア軍侵攻下での生活、救急用品満載の非常用リュック、爆発によるガラスの破片から身を守るために目張りをした窓といった動画をアップロードした。28日にティックトックに投稿された動画では、ボリックさんは世界中のフォロワーに向けて、自分がインスタグラムで作成したストーリーを通じて「(ウクライナの)真実を見てほしい」と訴えてもいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

エプスタイン文書、さらに100万件か 黒塗りで公開

ワールド

ウクライナ、GDPワラント債再編手続き完了 デフォ

ワールド

プーチン大統領、北朝鮮の金総書記に新年のメッセージ

ワールド

焦点:ロシア防衛企業の苦悩、経営者が赤の広場で焼身
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中