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露骨な男尊女卑で逆転勝利した韓国「尹錫悦」新大統領は、トランプの劣化版

MISOGYNY PREVAILS IN SOUTH KOREA

2022年3月25日(金)18時00分
ネーサン・パク(弁護士、世宗研究所非常勤フェロー)

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朴槿恵の弾劾訴追の妥当性を審議する憲法裁判所の李貞美所長代行(中央)(2016年12月) JUNG YEON-JEーPOOLーREUTERS

かつて朴が「祈禱師」の娘との腐敗した関係のせいで弾劾訴追された記憶がまだ新しいのに、尹自身も数多くの祈禱師(肛門専門の鍼〔はり〕師との関係も取り沙汰された)と不可解な付き合いがあった。彼の義母は文書偽造や給付金の不正受給で何度も有罪判決を受けていたし、それに妻が関与しているとの疑惑もあった。常識的に考えれば、こんな人物が大統領になれるとはとても思えない。

だが、それでも尹は勝った。

尹は組織の力に頼り、昨年11月に実施された「国民の力」の予備選では、保守派のベテラン議員で世論調査では自分よりも支持の高かった洪準杓(ホン・ジャンピョ)になんとか競り勝った。

選挙戦の流れを変えたメッセージ

しかし1月段階ではマイナス材料が一気に噴出していた。党内の複数派閥が反旗を翻し、「国民の力」の選対本部が機能を停止した。党の李俊鍚(イ・ジュンソク)代表──反フェミニズムの急先鋒として韓国の若い男性の間で大きな支持を得ている──は最終的に尹を支持したものの、2度も尹の選挙応援を取りやめるという異常事態があった。

1月第1週の世論調査で、尹は与党の李在明に7~9ポイントの差をつけられていた。

彼がその劣勢から抜け出せたのは露骨な男尊女卑の姿勢と、反フェミニズムの風潮をあおる保守系メディアのおかげだ。

若い男性たちの意見を取り入れて陣営スタッフを縮小した後、尹はフェイスブックの自分のページに「女性家族省廃止」というシンプルなメッセージを投稿した。さらに彼は、国際女性の日であった投票日前日にも再びこのメッセージを掲げると、賛同のコメントが殺到した。

自分たちのスターである李俊錫が尹への態度を二転三転させたことで大統領選への興味を失いつつあった反フェミニズムの若い男性有権者は、これにすぐに反応した(ちなみに問題のメッセージを作成したスタッフは後に、公共の場で女性の隠し撮りをした容疑で逮捕された)。世論調査での尹の支持率は数週間のうちに急上昇し、2月半ばには対立候補を9ポイントリードしていた。

李のスキャンダルにも救われた。李の足を引っ張ったのは、京畿道城南(ソンナム)市にある大庄洞(テジャンドン)の宅地開発疑惑だ。14年に官民共同で行われたこの開発事業で、民間企業側は入札の便宜を図ってもらうため、公社の関係者らに賄賂を贈っていた。

当時、李は城南市長だったため、自身の収賄疑惑が浮上。尹にとっては絶好の攻撃材料となった。尹のSNSでは、「李在明」と「大庄洞」という単語の登場回数が自身の名前より多かった。

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