最新記事

ウクライナ難民

狙われる「ウクライナ女性」難民、宿泊先提供の言葉で近付く「性犯罪者」の危険

German Police Warn Ukrainian Refugees of Possible Human Trafficking Traps

2022年3月11日(金)17時58分
シーラ・リ・バートフ
ウクライナ難民

Lisi Niesner-REUTERS

<ドイツに続々と到着するウクライナからの難民に狙いをつけ、避難所を提供すると言って人身売買の標的にしようとする人々の存在が懸念されている>

ロシアによるウクライナへの攻撃が激しさを増すにつれ、国外へ逃れる市民の数も増加している。そんななか、ドイツの連邦警察はベルリン中央駅に到着するウクライナ難民たちに対し、注意を呼びかけていた。

駅には、難民への誠実な気持ちで避難先や支援を提供しようとする人が多数集まっているが、一方で女性や子供などの弱者を「人身売買」の標的にしようとする人間たちもひそかに混ざっている可能性があるというのだ。

ベルリンの駅には、宿泊できるスペースを案内する看板を掲げる市民が多数集まっている


連邦警察は3月9日、ドイツ語、ロシア語、ウクライナ語で次のようにツイートした。「ベルリン中央駅には、ウクライナから避難してくる人たちへの宿泊施設の提供に関連して、度を越えた行動をしている人間がいる」「宿泊の費用を提供すると申し出があった場合、あるいは、そう申し出ている人間を見かけた場合は、ただちに警察に通報してほしい」

9日付の独紙ターゲスシュピーゲルで警察は、この憂慮すべき事態について説明している。それによると、不審な集団、特に50歳以上の男性たちが、単独行動する女性や子供連れの女性に近づき、宿泊先を提供すると申し出てくる。ときには、現金を渡すと持ちかけてくるという。

警察の広報担当者の話では、こうしたケースに関する通報は3月9日に「数十件」寄せられたが、通報されない場合もあると当局は見ている。

尋問された1人には性犯罪の前科が

ベルリン中央駅での犯罪行為となりうる行動は、おもに支援団体やボランティアなどによって通報されている。それを受けて、警察官が不審者を確認して警告し、駅から排除した。広報担当者によると、それ以上の措置は取ることができないようだ。宿泊施設を提供すると申し出ただけの場合や、人身売買の疑いだけでは、逮捕するには不十分だからだ。

しかし、3月7日に起きたケースで懸念が高まった。警察の尋問を受けた男のうちのひとりは、若い女性たちを狙って近づき、ハンブルクまで車で乗せていくと声をかけていた。この55歳の男が過去に、性的虐待で連邦警察に逮捕された経験を持つことがわかったのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中