最新記事

ウクライナ難民

【ウクライナ・ポーランド国境現地ルポ】ドイツの難民受け入れ......市民の活躍と差別論

2022年3月9日(水)15時39分
モーゲンスタン陽子、モーゲンスタン開、ダーシャ・ティムチェンコ

ボランティアの1人、ウクライナ人のVitalij Selenskiヴィタリ・セレンスキはトラック運転手だったため、たまたま国外にいた(18歳〜60歳のウクライナ男性は国外に出られない)。しかし、妻と3人の子供がまだ原発のあるザポリージャに残されている。家族が脱出でき次第、ニュルンベルクの知己の元に身を寄せたいと考えている。東部では、飲料水の不足で命を落とす人が多いようだ。

[video] Kai Morgenstern for Newsweek Japan; translated by Yoko Morgenstern and Kai Morgenstern (翻訳は最後に)

本稿は3月8日、国際女性デーに執筆している。なんと、この日はウクライナでは国の祝日となっているそうだ。男性が女性たちに花を買うのが通例だが、今年、ウクライナの女性たちは、花はいらないから男たちが身一つで無事に帰ってくるよう祈っているという。

わが家に身を寄せているのも女性2人と少女2人、メスのネコ1匹だ。ペットがいるため、ニュルンベルク市のシェルターには入れない。ロシアにいる友人や親戚の中には、戦争が起こっていることをまるで信じてくれない人もいるのだという。

活発な7歳の次女の屈託のない笑顔が救いだ。だが、最初の夜、夕食の時に電気をつけるととても喜んだり(ザポリージャでは空襲のため、夜間の点灯が禁じられていた)、頭上をすぎる航空機に一瞬足を止めたりする姿に、胸が痛んだ。


【ビデオ翻訳】

(こちらはヴィタリ・セレンスキです)
私はウクライナ人です。ここはポーランドです。私たちウクライナ人を助けにきた彼らの活躍は素晴らしいです。ポーランド人や、ドイツ人や、そこの上のベッドにはフランス人がいます。ウクライナのために来てくれたんです。私はロシアのコサックであり、ウクライナのコサックです[コサック=ここでは愛国者の意]。

(彼は今国境の反対側にいる家族を待っています。明朝こちらに着いたら、ニュルンベルクに発ち、そこにいる親戚や友人の元に身を寄せるつもりです。無事に着きますよう)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

メタ、反トラスト法訴訟の和解持ち込みへトランプ氏に

ビジネス

カナダ首相、米関税に対抗措置講じると表明 3日にも

ビジネス

米、中国からの小包関税免除廃止 トランプ氏が大統領

ワールド

トランプ氏支持率2期目で最低の43%、関税や情報管
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中