ロシア軍侵攻、ウクライナの人々は日本に何を求めているのか
在日ウクライナ人による渋谷駅前での反戦集会 (筆者撮影)
<「今、プーチンが殺そうとしているのは民主主義、自由、平和です」と訴える在日ウクライナ人。日本人にその自覚はあるか>
先月に開始されたウクライナへのロシア軍の大規模侵攻。各地での戦闘は激しくなるばかりで、市街地への無差別砲撃が行なわれ、クラスター爆弾などの非人道兵器が使われたとも報じられている。こうした中、ウクライナの人々は、日本や国際社会に何を求めているのか。都内で反戦アピールを行った在日ウクライナ人の人々を取材した。
在日ウクライナ人達が求める対ロシア制裁は
先週土曜の午後、JR渋谷駅のハチ公前広場に、在日ウクライナ人の人々や彼らを支持する日本人、ロシア人などの在日外国人達が約2000人(主催者発表)が集まり、プーチン政権によるウクライナ侵攻に抗議するアピールが行なわれた。この抗議集会では、戦争を止めるため、日本や国際社会にしてもらいたい措置などが呼びかけられた。それらは、
・SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの排除
・プーチン個人への制裁
・ロシアとの外交の停止
・石油やガス、金融含む、ロシアからの全輸入の停止
・ロシアの新興財閥と全ての政治関係者の財産凍結
・ロシアからのミサイルを防ぐためにウクライナの空域の封鎖
・ロシアへのハイテク機器の輸出の停止
・国連安保理常任理事国からのロシア解任を国連で協議すること
・ウクライナへ支援金を送ること
というものだった。このうち、筆者の独断と偏見で言えば、ロシアからの天然ガスの輸入停止が特に重要だろう。既に、SWIFTからの排除の動きで、ロシア主要銀行との決済が難しくなることが予想されているが、現時点では、ロシアの天然ガス大手ガスプロムに関係するガスプロムバンクは含まれていない。これは欧州が発電や暖房等での天然ガス需要の約4割をロシアの天然ガスに依存しているため、ガスプロムバンクまでSWIFTから排除すると、欧州エネルギー危機となり、経済にも悪影響が出ることを懸念したのだろう。だが、それは対ロシア制裁の効果を弱めてしまうことでもある。ロシアの政府歳入の約5割を石油・ガス関連収入が占め、文字通り国家の財政基盤であるからだ。
反戦プラカードを掲げる女性の目は涙が溢れていた(筆者撮影)
そこで、重要なのが日本の役割である。ロシアの天然ガスの輸出先のうち、日本は1割弱程を占める。また日本のLNG(液化天然ガス)の輸入元でロシアが占める割合も1割弱程度。日本が率先として、ロシアからのLNG輸入を停止し、欧州にも輸入停止や輸入量の低減を働きかけていくということが必要なのではないだろうか。