ロシア軍侵攻、ウクライナの人々は日本に何を求めているのか
その他、タックスヘイブン(租税回避地)にプーチン大統領やその親族等が隠し持っているとされる財産の特定とその凍結、国連安保理で、ウクライナ侵攻非難決議に拒否権を発動したロシアを常任理事国の任を解くことも検討されることなども重要だろう。
家族がキエフに―悲痛な訴え
プーチンをヒトラー化させたプラカードや、「ロシア=プーチンではない、プーチンを止めろ」との呼びかけも(筆者撮影)
「お金がなければ戦争もできない」と対ロシア制裁を求めるデモ参加者(筆者撮影)
抗議集会参加者らにも個別に話を聞いた。いてもたってもいられず、富山県から、この日のために来たという40代の在日ウクライナ人男性は「両親がキーウ(ウクライナ首都キエフ)にいる。心配でたまらない」と言う。欧米等の対ロシア制裁について「もっと早くから行ってほしかった」と語り、「とにかく世界全体がロシア封じ込めをすること」がプーチン大統領の暴走を止めるため必要だと訴えた。
妹夫婦とその子どもがキーウにいるという在日ウクライナ人女性は「妹の家の近くで2回も大きな爆発があったそうです」と涙ながらに言う。「皆、地下シェルターに隠れ、息を潜めています。でも、いつまでもつかどうか...早く戦争を止めてほしい」(同)。
子ども達も平和を訴え(筆者撮影)
ウクライナのお菓子などを日本に輸入し販売しているという在日ウクライナ人女性は「日本のメディアでは、ウクライナがNATOに参加することを嫌ってプーチンが侵攻したと報道されていますけども、実際はもっと別の問題があると思います」と語る。「ウクライナが民主化されて、EUと関係を深めているのが、プーチンは気にいらないのだと思います。変化していくウクライナを見て、ロシアの人々がプーチンの独裁に疑問を持つようになるのが、怖いのだと思います。私達は、(かつてウクライナもその一部だったソビエト連邦時代のように)ロシアに支配されたくない。それが全てのウクライナ人の気持ちだと思います」(同)。
抗議集会でマイクを握った在日ウクライナ人の女性は「今の戦争はウクライナとロシアだけの問題ではありません。欧州や米国、日本、民主主義を大切にしようとしている全ての国々の問題です」と訴える。「今、プーチンが殺そうとしているのは民主主義、自由、平和です。プーチンを止めろ!」(同)。
(筆者撮影)ウクライナ侵攻は、同国軍の善戦により、ロシア側の当初の計画より遅れていると報道されているが、ロシア軍がなりふり構わず、人口密集地に無差別攻撃を行えば、民家員人被害は甚大なものとなるだろうし、既にそうなり始めている。日本を含む国際社会はプーチン大統領への効果的な圧力を強めていくことを急ぐべきだろう。