トランプ独自SNS「トゥルース・ソーシャル」、結局は大手のアプリストア頼み
同社については依然として不透明な部分が多く、IT・メディア業界の中には懐疑的な見方もある。保守系メディアの経営幹部2人は、TMTGが11月としていたベータ版のサービス提供開始が、計画倒れに終わったもようだと指摘。さらに、TMTGが実体のない「張りぼて」にすぎないのではないかという根拠として、ヌネス氏を除けば、メディア、IT、政界の有力者の関与が伝えられていない点を挙げた。
「私や私のチームには何のアプローチもない」と保守系メディアの関係者は語った。「トランプ氏はいつも(自分の)島の中だけにいるようなものだ」
困難なコンテンツ監視
TMTGは「ビッグテック(巨大IT企業)への抵抗」という使命を掲げるが、スマホ市場で優位に立つアプリストアを抱えるグーグルとアップルに依存しているようでは限界がある。TMTGでは、サンフランシスコを本拠に人工知能(AI)ベースのコンテンツモデレーション(内容監視)を行うハイブ社と提携。性的に露骨な表現やヘイトスピーチ、いじめや暴力的なコンテンツを検出している。TMTGの事情に詳しい人物によれば、ハイブとの提携に至った1つの要因として、「トゥルース・ソーシャル」をアップルやグーグルのアプリストアに残してほしいというTMTGの願望があったという。
「トゥルース・ソーシャル」では、自動検知と人間によるチームの双方、さらにはユーザーが攻撃的な投稿を通報できる手段といった、しっかりしたコンテンツ監視の仕組みが必要になるだろうと語るのは、スタンフォード大学インターネット観測所の最高技術責任者(CTO)を務めるビッグデータ専門家、デビッド・ティール氏だ。
「『パーラー』と同じような状況に陥ると話はややこしくなる。つまり、ホスティングサービスや、さらにはアップストアが目をつけ始めるほどヘイトスピーチの程度がひどくなった場合だ」とティール氏は言う。
「トゥルース・ソーシャル」は、アップルが運営する「アップストア」の規則に従うことになるが、そこでは開発者に対し、利用者が攻撃的なコンテンツを通報するための手段を提供し、「迅速な対応」を行うことを求めている。また「暴力を奨励」するコンテンツや、「武器や危険物の違法な、あるいは無謀な使用を奨励するような描写」を禁じている。
TMTGのウェブサイトでは2月4日の時点で技術職の求人が12件掲載されており、そこにはアンドロイド担当チームに参加する開発担当者1人、iOS担当エンジニア1人が含まれている。掲載情報によれば、給与は8万ー22万ドル(最大2540万円)。「資金潤沢」で「リモートワーク優先」、そして「保守派寄り」のスタートアップ企業で働きたい人材が歓迎されている。iOS担当エンジニアに求められる要件は「アップルのヒューマン・インターフェース・ガイドラインと、(ガイドラインというより規則に近い)アップストア・レビュー・ガイドラインについて知識を持つこと」だ。求人案件の1つでは、理想的なタイプは「好戦的な社風を楽しみ、より少ない資源で多くの成果をあげる」人材とされている。
TMTGのサイトに掲載された求人情報によれば、同社は特に、バックエンド向けプログラム言語「エリクサー」での開発経験をもつ人材を最低1名採用したいとしている。
ヌネス氏は1月13日、ラジオDJのレイ・アップルトン氏によるインタビューの中で、TMTGは現在フロリダ州パームビーチを拠点としているが、もっと長期的な立地を探すことになるはずで、その場合でもシリコンバレーよりフロリダ、テネシー、テキサスといった州を優先すると述べた。事情に詳しい2人の人物によれば、設立からまもない数カ月間、技術系の人材の一部はアトランタ周辺で働いていたという。
(翻訳:エァクレーレン)
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