最新記事

臓器売買

人体という素材に魅入られた著名デザイナーが密輸入しようとしたとされる「特注品」とは

Human Organs Harvested and Trafficked for Fashion Designer, Say Police

2022年2月24日(木)14時38分
シーラ・リ・バートフ

インドネシア人デザイナーのプトラは人骨ハンドバッグを作ったこともある(写真はイメージ) Goran Jakus Photography-iStock.

<インドネシアの若きインフルエンサーでもあるこのデザイナーは、過去にも「子どもの脊椎骨を使ったハンドバッグ」を販売したことがある>

ブラジルの連邦警察は、国内の大学からシンガポール在住のファッション・デザイナーに向けて、人間の手1本と胎盤3パックが発送された疑いがあることを明らかにした。

ニュースサイト「バイス・ワールドニュース」によれば、連邦警察が2月22日にアマゾナス州立大学の研究室の家宅捜索を行ったところ、解剖学の教授が人間の臓器を保存していたことが分かった。

警察は声明の中で、この解剖学研究室が「プラスティネーション」と呼ばれる保存プロセスの一環として、「(遺体から)体液を抜き取っていた」と述べた。プラスティネーションとは、人間や動物の遺体の一部を保存するために、身体を構成している水分と脂肪分をシリコンやエポキシなどの合成樹脂に置き換える技術だ。

この教授は現在、捜査対象となっている。(手や胎盤を入れた)小包が既にシンガポールに到着しているのか、それとも途中で差し押さえられたのかどうかは、明らかにされていない。

問題の小包は、インドネシア人のファッション・デザイナーでインフルエンサーのアーノルド・プトラに宛てて発送されたとみられている。

プトラはこれまでにも、人体の一部を使ったデザインで物議を醸したことがあり、2020年には人間の子どもの脊椎骨を使ったハンドバッグを販売した。このバッグに使われた骨についてプトラは、カナダの企業から「倫理的に入手」したものだと主張した。

220224putra.jpeg
子どもの脊椎骨を使ったハンドバッグ  Tribun Sumsel/YouTube


1月には極右民兵組織に激似の服装も

このバッグの販売について、オンライン上では批判が噴出したが、プトラはインスタグラムへの投稿でこう反論した。「人々の反対があってこそ、クリエイティブな学習プロセスが生まれる。それがなければ、ただ検証作業を繰り返すだけになる」

彼はさらに、インスタグラムのストーリーへの投稿で、問題のバッグは「プラスティネーションを施した人体の一部とアルビノの皮膚を使ったコレクション」の一部だとも述べた。これが冗談だったのかどうかは、明らかになっていない。

プトラはまた、ファッションディレクトリーサイト「ノット・ジャスト・ア・レーベル(Not Just a Label)」上で、「人間に似た謎の生物が持っているという身体のパーツに関する噂のとりこだ」と語っていた。

プトラは裕福だとされており、ソーシャルメディアにはこれまで、贅沢な暮らしぶりを投稿してきた。2017年にはインドネシア・タトラー誌がプトラを、インドネシアで「最も多くの車を所有している車のコレクター」と称している。

1月には、パリで開催されたファッション・ウィークに極右の民兵組織「パンチャシラ青年団」の制服から着想を得たという服装で姿を見せ、人々の怒りを買った。パンチャシラ青年団は、1965年から1966年にかけてインドネシアで起きた大虐殺を主導した組織だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中