「強奪した」香港でコロナ急拡大...焦る中国政府の「介入強化」の懸念が強まる
China's COVID Policy Not Working in Hong Kong As City Sees Over 6K Cases
香港のコロナ検査会場(2月7日) Lam Yik-REUTERS
<オミクロン株が猛威を振るう香港は「医療崩壊」が危ぶまれる状況に。習近平も事態を重く見るが、香港側には支援受け入れを危険視する声も>
新型コロナウイルス感染症を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」を続ける中国だが、香港でもこれと同じく「ダイナミックゼロ(動態清零:ゼロトレランス)」方針が掲げられている。
ところが最近は、抑え込みに苦慮しているのが実情だ。新規感染者数は、2月はじめの時点で約100人だったが、2月17日には6116人となり、前日に記録した過去最多の4285人を上回った。当局の発表によれば、コロナ患者向けの病床使用率は90%で、ほかの隔離施設も限界に近づいている。
香港が現在実施している新型コロナウイルス感染症対策に基づくと、陽性反応者は全員、少なくとも7日間にわたって病院に入院するか、隔離施設に入らなくてはならない。退院・退所のタイミングは、各患者の症状と、検査で陰性反応が出始めたかどうかで決まるとされる。
ただ今後は、病院や隔離施設などの負担を軽減するため、隔離方針を変更する可能性が高いと香港当局は発表している。
食物及衛生局の副局長、徐徳義(チュイ・タクイ)は、「深刻な数の感染者が出ており、陽性反応者の入院や公共隔離施設への収容を、より迅速に進める必要がある」と述べた。「政府は、それらすべての問題を取り除くべく努めている」
屋外のベッドで行われる治療
香港では、2月はじめの1週間で10人を超える死者が報告され、パンデミックが始まってからの累計死者数は200人を超えた。米疾病予防管理センター(CDC)も、香港では変異株のオミクロン株によって過去に例のない感染者急増が起きたと述べている。
香港当局が入院や隔離に関する方針の変更を決定した背景には、病院が患者を収容しきれない現状がある。メディアでは、屋外に設置したベッドで治療が行われる様子が伝えられている。
香港医院管理局の何婉霞(サラ・ホー)は、「多数の患者が屋外で待機させられる状況が続けば、医療関係者が24時間体制でいくら必死に働いても、自分たちの努力だけでは問題を解決できない」と、AP通信のインタビューで述べている。何婉霞によれば、新規感染者が膨大な数に上るため、香港の公立病院は「危機的状況」にあるという。
香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)も2月4日、近いうちに香港全域で大規模検査を行うべきかどうかを政府は検討中だと発言したと報じられている。