最新記事

北京五輪

北京五輪マスコット「ビンドゥンドゥン」、数千の仕込みアカウントで人気演出か

2022年2月16日(水)12時10分
青葉やまと

大会マスコット「ビンドゥンドゥン」が人気だが...... REUTERS/Aleksandra Szmigiel

<五輪マスコットとして異例の成功を収めるビンドゥンドゥン。だが、数万あるネットの肯定コメントには、不自然な特徴が......>

北京五輪の大会マスコット「ビンドゥンドゥン」が人気だ。つぶらな瞳が愛くるしいパンダのキャラクターで、宇宙飛行士をイメージした氷のシェルに身を包んでいる。競技会場で陽気なダンスを披露したり、会場のドアに挟まって身動き取れなくなったところを激写されたりと、スポーツの祭典に明るいムードを添える。


2019年の公式マスコット発表時には「中身の漏れた胡麻団子」とまで酷評されたが、現在ではぬいぐるみが方々で完売するほどの需要を誇る。USAトゥデイ紙によると、南京では先日の氷点下の夜、グッズ購入のために11時間並ぶ列ができた。

好評の要因のひとつとしては当然、親しみやすいデザインがあるだろう。しかし、加速する人気の影には人為的な仕込みがあった模様だ。オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙が、ネット上でのマスコット人気が多数の偽アカウントによって演出されていた可能性があると報じている。

異常に多い新規アカウント

記事は『「口コミで人気」のビンドゥンドゥン、大会の筋書きを書く中国に加担』と題するもので、マスコット人気が架空のアカウントによって盛り上げられていたと報じる内容だ。同紙が調査したところ、ビンドゥンドゥンを支持するツイートを行ったアカウントの3件に1件は、最近作られたばかりの若いアカウントであることが判明した。

現在、Twitter上でのビンドゥンドゥン人気は凄まじく、ハッシュタグ「#BingDwenDwen」付きのツイートが1月だけで3万件ほど飛び交っている。同紙がこのハッシュタグを付けてツイートしたアカウントを精査したところ、その20%は今年1月に入ってから作られたものであった。さらに去年作成されたものも含めると、奇妙なことに全体の35%ものアカウントが新しいものとなっている。

また、こうしたツイートを投稿しているアカウントの一部には、共通したある不自然な特徴がある。アカウントのIDが「Dianna50973442」「Jessica77025679」など、いずれも欧米人名と数字8桁の組み合わせになっているのだ。ここで例示した両アカウントは過去にビンドゥンドゥンに関連したツイートを投稿していたが、現在は何らかの事情により凍結処分を受けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏、政権ポストから近く退任も トランプ氏が側

ワールド

ロ・ウクライナ、エネ施設攻撃で相互非難 「米に停戦

ビジネス

テスラ世界販売、第1四半期13%減 マスク氏への反

ワールド

中国共産党政治局員2人の担務交換、「異例」と専門家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中