北京五輪マスコット「ビンドゥンドゥン」、数千の仕込みアカウントで人気演出か
「オンライン上のストーリー作り」の人材が募集されていた
こうした不自然な兆候は、一般ユーザに扮した話題づくりを行おうとする組織的なキャンペーンが行われていた可能性を示唆するものだ。これまでに公開された中国政府の文書からは、「SNSアカウントを管理し、新たなオンライン上のストーリーを作り上げる」ための人材が募集されていたことが明らかになっている。
オーストラリア戦略研究所のアルバート・チャン研究員はシドニー・モーニング・ヘラルド紙に対し、多数の偽アカウントによるツイートは「彼ら(中国)の従来のプロパガンダおよび情報操作と一致するもの」だと指摘し、今回も類似のキャンペーンでビンドゥンドゥン人気を創出したとの見方を示した。
チャン研究員は、数千のアカウントのねつ造により、「オリンピックなど中国のポジティブなイメージを広め」るねらいがあったと分析している。対外的な政策というよりは、中国国民の愛国心を高める目的があるのではないかとの見方だ。
これほどまでに受け入れられた要因としてはもちろん、マスコットのデザインそのものが優れていたという事情もあるだろう。しかし、その人気を加速させたしくみとして、このように人為的に仕組まれた影のキャンペーンが存在するようだ。
無邪気な笑みをうかべるビンドゥンドゥンは、外交ツールとしても機能しているという。米Quartz誌は、「このマスコットはいわゆる『パンダ外交』のよい例であり、パンダの印象のように中国はかわいく、愛らしく、フレンドリーであると暗に訴えるものだ」と指摘する。
歴代のオリンピック・マスコットには地味な存在に終わるものも多いなか、ビンドゥンドゥンは希代の注目を浴びている。親しみやすい中国の象徴と受け止めるか、情報操作の結果とみるかで、抱くイメージはずいぶんと変わりそうだ。
Chinese factories ramp up production of Olympic panda mascot Bing Dwen Dwen to meet surging demand