最新記事

英王室

カミラが王妃?そんな裏切りはダイアナと英国民が許さない

Princess Diana's Legacy Hangs Over Camilla's Fate As Queen Consort

2022年2月8日(火)18時17分
ジャック・ロイストン
ダイアナ

チャールズとカミラの不倫に苦しみ、失意のうちに死んだダイアナ元妃  RUSSELL BOYCE-REUTERS

<即位70年に合わせて発表した声明でエリザベス女王はそれを望むと明言したが、国民はチャールズ皇太子とカミラ夫人の不倫がダイアナをどれほど苦しめたか忘れていない>

イギリスのエリザベス女王が、息子であるチャールズ皇太子の王位継承に向けて行った「お膳立て」が波紋を呼んでいる。17年前に英王室が打ち出した方針を反故にし、またダイアナ元妃に対する国民感情を裏切るものだからだ。

95歳のエリザベス女王は、プラチナ・ジュビリー(即位70年)の年のはじまりに合わせて発表した声明の中で、チャールズが国王に即位したときには、妻であるカミラ夫人(コーンウォール公爵夫人)が「王妃(クイーン・コンソート)」と呼ばれることを望む、と表明した。

だがこれは、過去に王室が発表した方針を覆すもの。2005年にチャールズとカミラが再婚した時、王室は彼女の称号について、将来的には「国王夫人(プリンセス・コンソート)」と呼ばれることになると発表した。故ダイアナ元妃への配慮から下されたものだ。

ダイアナがいない英王室──エリザベス女王とチャールズ皇太子とカミラ夫人


今回のエリザベス女王の要望は、イギリスの世論とは明らかに大きな隔たりがある。

2021年11月に世論調査サイト「ユーガブ」が実施した世論調査によれば、カミラについてはイギリス国民の42%が、「国王夫人」とのみ呼ばれるのが好ましいと考えており、26%は「一切称号を与えられるべきではない」と考えている。

「彼女が王妃と呼ばれることが心からの願い」

女王が今回の発表をしたのは、2月5日。「皆さんが私に忠誠心と愛情を注ぎ続けてくれていることに、いつも感謝しています」と述べた上で次のように続けた。

「機が熟して息子のチャールズが国王になる時にも、皆さんは、私を支えてきてくれたのと同じように、チャールズと妻のカミラを支えてくれると確信しています。そしてその時が来たら、カミラが王妃(クイーン・コンソート)と呼ばれ、忠実な奉仕を続けてくれることが私の心からの願いです」

チャールズはこれを受けて、女王の即位記念日である6日に「私たちは母の願いの表明が名誉なことであると、深く自覚しています」との声明を発表し、さらにこう続けた。「私たち夫婦は共に、女王陛下と国民に仕え、またサポートする方法を模索してきました。その中で、最愛の妻は常にしっかりと私を支えてきてくれました」

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中