高齢者の職場にこそ求められる「働き方改革」
今後働く高齢者はますます増えていくと予想される maroke/iStock.
<65歳以上の就業者のほとんどが事務職以外の現業職で、高齢層の労災もこうした職場で多発している>
人口の高齢化がとまらず、日本社会の維持存続を危ぶむ声もある。生産人口(15~64歳)が高齢人口(65歳以上)の何倍かを算出すると、1950年では12.1、人口ピークの2005年では3.3、未来の2065年では1.3だ。12人で1人の高齢者を支える「お神輿」だった状態が、3人で1人を支える「騎馬戦」になり、未来はほぼ1対1の「肩車」になる。
これから先、65歳以上を高齢期(引退期・被扶養期)とみなすことはできないだろう。社会の存続が危ういし、個人にしても「人生100年」の時代に35年もの間を引退者として生きるのは経済的にも心理的に不可能だ。働き続ける高齢者も増え、2015年の国勢調査によると65歳以上人口の22.5%が就業している。就業者全体に占める65歳以上の割合は12.8%で、働く人の8人に1人にあたる。これが2割、3割になる日は遠くない。
だが高齢者の場合、働き方は独自のものとなっている。働く人の従業地位と職業の分布を、全体(約5892万人)と65歳以上(約753万人)で比べると<表1>のようになる。
従業地位を見ると、高齢層では非正規雇用が32.7%と最も多い。その次はフリーランス(雇人のない業主)が23.2%で、正規雇用は14.6%しかいない。就業者全体の分布とはだいぶ違う。
職業を見ると、農林漁業が15.1%で最多となっている。2位はサービス職、3位は販売職だ。管理職、専門技術職、事務職といったホワイトカラーは4人に1人で、残りは体を動かす現業職であることが知られる。