最新記事

対中ビジネス

テスラだけではない中国政府に媚びるアメリカ企業

Tesla Accused of 'Economic Support for Genocide' After Opening Showroom in Xinjiang

2022年1月12日(水)17時03分
エリン・ブレイディ
テスラのロゴ

北京の街にそびえるテスラのロゴ REUTERS/Tingshu Wang

<テスラが人権侵害が行われているとみられる新疆ウイグル自治区にショールームを開設するのはジェノサイド支援と同じ、とイスラム系人権団体は憤るが>

人権侵害で国際的な問題になっている中国の新疆ウイグル自治区に電気自動車メーカーのテスラがショールームを開設すると決定したことに対して、活動家たちは非難の声を上げている。

イスラム教の市民団体「米国イスラム関係評議会(CAIR)」は、テスラとCEOのイーロン・マスクに対して、新疆ウイグル自治区の首府ウルムチに開設したショールームを閉鎖するよう求めた。CAIRは声明で、ショールーム開設は「ジェノサイドへの経済的支援も同然の行為だ」と断じた。

新疆ウイグル自治区当局は、イスラム教徒のウイグル人を強制収容所に入れるなどの人権侵害を指摘されている。自治区当局と中国政府はともに、これらの疑惑を否定している。

CAIRの全米コミュニケーションディレクターであるイブラヒム・フーパーは、「いかなる米国企業も、宗教的・民族的な少数派に対するジェノサイドの中心地でビジネスを行うべきではない」と訴えた。

インテルはエシカルな調達を中国に謝罪

テスラは中国に大きな顧客基盤を持つが、ほかにも、「自社の利益のために人権侵害の疑惑を無視している」として非難を浴びた企業は多い。BBCによれば、インテルは2021年12月、中国政府に謝罪した。サプライヤー各社に対して、新疆ウイグル自治区の製品やサービスを避けるよう求めたことに中国政府が激怒したからだ。

インテルは声明の中で、「尊敬すべき中国の顧客、パートナー、市民に迷惑をおかけしたことを謝罪します」と述べている。「インテルは、中国との共同開発を加速させるため、信頼できる技術パートナーになることを約束します」

中国では、外国企業に対して、新疆ウイグル自治区やチベット、台湾などの政治的な問題に対して口を出すなという圧力が高まっている。中国共産党は各社に対し、広告やウェブサイトでは中国共産党と同じ立場を取るよう働き掛けている。共産党はまた、新疆ウイグル自治区での強制労働をはじめとする虐待の報告に懸念を示す衣料品ブランドなども攻撃している。

活動家や外国政府によれば、新疆ウイグル自治区の強制収容所には、ウイグル人などのイスラム系少数民族を中心に、約100万人が収容されているという。一方、中国当局は虐待の疑惑を否定し、収容所は職業訓練や過激派対策を目的としたものだと述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中