二階元幹事長が最高顧問を務める日中イノベーションセンターと岸田政権の経済安全保障との矛盾
中国側は清華大学が多いものの、国務院のシンクタンクや、中には中国共産党中央党校国際戦略研究センター教授さえおり、本センターが如何に中国共産党と中国政府のために貢献しようとしているかが明らかである。中には中国人民抗日戦争記念館館員さえいるのは、「反日」であっても構わないことを示唆していて興味深い。
スパイを突き止める行政省庁がある一方で、対中友好な岸田政権
日本の行政省庁の一つである公安調査庁は2021年春、「我が国留学歴を有する極超音速分野の中国人研究者」と題した内部資料を出した。資料自体は関係省庁などにしか配布しておらず、資料を入手することはできなかったが、周辺の関係者から概ねの話を聞くことはできた。
それによれば、日本の大学や研究機関に教員や訪問学者などの職位で所属していた中国人研究者等が極超音速兵器の開発に関わる研究に携わり、帰国後、中国の関連機関で活動しているとのこと。
これは日本の安全保障に関わる重要な問題で、言うならば「スパイ行為」をしていたということになる。
アメリカのバイデン政権では昨年6月上旬に上院が、中国に技術が盗まれるのを防ぐことなどを含めた「米国イノベーション・競争法案」を可決している。またアメリカの大学では千人計画に関係した大学教授が逮捕されたりもしている。
日本の岸田政権ではどうか。
対中非難決議は見送ったし、ウイグル族弾圧など人権侵害などを行った政府当局者に制裁を与えることができる日本版マグニツキー法の制定も、岸田首相は先延ばしすると言っている。
2月の北京冬季五輪に関しては昨年末、岸田首相は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長やJOC(=日本オリンピック委員会)の山下会長などを派遣すると決めた。松野官房長官は「外交的ボイコットといった特定の言葉は使わない」と言っているが、橋本氏や山下氏を派遣すれば十分だ。
岸田首相は「自分は行かない」と言うことによって、あたかも対中強硬姿勢を取ったようなポーズを出そうとしているが、東京大会に習近平は来ていないのだから、岸田氏が行くか行かないかを議論すること自体おかしい。
東京大会に派遣された中国側の代表は国家体育総局局長で中国オリンピック委員会主席を兼ねる苟仲文氏だった。
橋本聖子は現役の自民党参議院議員である。
国家体育総局は国務院直属の正部級機構(=中央行政省庁レベル)であり、苟仲文は中共中央委員会の委員でもあるので、たしかに参議院の一議員よりは少し格上かもしれない。しかし橋本議員は大臣でもあった。遜色はないはずだ。