逃亡20年、映画ロケ中に脱獄したマフィア元締め ストリートビューであえなく御用
脱獄した元マフィアのボスが写り込んだGoogleストリートビュー The Mob Reporter-YouTube
<映画ロケの混乱に紛れて脱獄した、イタリアマフィアの元ボス。海外に潜伏していたところ、Googleストリートビューに写り込んであえなく御用に>
61歳になるジョアキーノ・ガミーノは、イタリアの最重要指名手配犯の一人だ。20年前に殺人による終身刑で収監されていたが、刑務所でロケが行われた映画『Ics』の撮影に乗じて脱獄し、行方をくらませた。
当時の様子を報じるインディペンデント紙は、はじめに囚人仲間の一人が囮となって塀を乗り越え、意図的に警報装置を発報させたと報じている。
刑務所内にはアラームが鳴り、来訪者たちは混乱状態となって出口へと押しかけた。当時所内の一部でロケを行なっていた撮影スタッフのほか、出演者にエキストラ、そしてロケと関係なく受刑者に面会に来ていた人々などがいっせいに出口へと詰めかけた模様だ。
この混乱に紛れ、ガミーノは刑務所を後にする。警報が鳴り響くなか、正面玄関から堂々と立ち去るという前代未聞の脱出劇であった。ガミーノの姿がないことに刑務官たちが気づいたのは、騒動から一夜明けてのことだった。
スペインで歩んだ第二の人生
以来、イタリア・シチリア警察は、彼の居場所を突き止めようと懸命の捜査を続けてきた。2014年には海外逃亡も視野に、ヨーロッパ全域で効力をもつ逮捕令状を請求している。
その頃すでに当人は危険な稼業から足を洗い、まさにシチリア警察の読みどおり、海外移住を果たしていた。スペイン・マドリード近郊のガラパガルの町に根を下ろし、マニュエルという名で結婚し家庭をもっている。
さらにガミーノは、二足のわらじを履く商売人としての才能を開花させ、第二の人生を歩んでいたようだ。街角にレストラン「マヌのキッチン」の看板を掲げ、オーナーシェフとして自ら厨房に立ち、料理に情熱を燃やす日々を送っている。さらに、近くに構えた青果店「マヌの野菜畑」では、地元民を相手に新鮮な野菜とフルーツを販売していた。
すっかり地元に馴染んだかのようなガミーノだったが、シチリア警察はついに20年越しにその居場所を突き止め、昨年12月に逮捕に至った。特定の決定打となったのは、世界の街頭画像を公開しているGoogleストリートビューだ。
酷似した人物がストリートビューに
シチリア警察は独自の捜査により、スペインに居住している可能性が濃厚だとの情報をすでに掴んでいた。しかし、スペインといっても広大だ。具体的な街や地点の特定に手こずったまま、月日だけが流れてゆく。
最後の希望としてストリートビューをしらみ潰しに探したところ、事態は一気に進展する。マドリードから車で40分ほどの距離にあるガラパガルの町で、青果店の店頭で客と話し込んでいるガミーノらしき姿が写り込んだワンシーンが発見されたのだ。
Mafia fugitive arrested when spotted on Google Maps -- the real story
当該のストリートビュー画像では、青果店の店主らしき白髪まじりの男が店先の壁に手をつき、何やら客と談話している。ベージュのシャツにジーンズ、そしてスニーカーというラフなスタイルだ。体格や顔立ちは、まぎれもなく捜査班が長年追っているガミーノそのものだった。