逃亡20年、映画ロケ中に脱獄したマフィア元締め ストリートビューであえなく御用
追い込みに一役買ったFacebook
だが、ストリートビューにはプライバシー保護のためぼかしがかけられており、容貌の詳細まで確認することはできない。そこで捜査員たちは、同じマヌの名前を冠した近くのレストランに注目した。このレストランは青果店と電話番号も共通しており、同じオーナーによる経営だと目される。
レストランのFacebookページを参照すると、オーナーシェフの顔写真が掲載されており、それはまさにガミーノ本人の写真であった。左アゴの特徴的な傷も一致し、こうして苦節20年を経て潜伏先の特定に至る。大胆にもレストランは、ガミーノが長年過ごしたイタリアに由来した「シチリアのディナー」と呼ばれるメニューも提供していた。
なお、ストリートビューには画像が残っているものの、レストラン・青果店とも数年前に閉店している。61歳のガミーノは経営を引退し、スペインでの余生を楽しんでいた模様だ。ましてやイタリアでのマフィアとしての日々は、ガミーノの記憶から消えつつあったかもしれない。
英ガーディアン紙によると当人は、ここ10年ほどイタリアの家族にも連絡を取っていなのになぜ場所がわかったのかと、しきりに首を傾げていたという。
過去には抗争で200人が犠牲に
ガミーノは過去、シチリア島中南部のギャングを束ねる中心的組織「スティッダ」のボスとして君臨してきた。1980年代にはマフィアの粛清で有名なファルコーネ判事による調査の対象となったが、報復に動いたとみられ、同判事はのちにマフィアによる爆弾テロで暗殺されている。
90年代には対立組織との大規模な抗争が問題となった。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、敵対する犯罪組織コーサ・ノストラとの間に縄張り争いが生じており、200人が犠牲になっている。
逃亡先のスペインでは2店舗を掛け持ちする敏腕店主として商才を開花した元マフィアだが、こうした過去の過ちを忘れることは許されなかったようだ。終身刑に戻るべく、数週間以内にイタリアに送還される。