空爆のように街が破壊された... 何が起きたか本当に知らないんですか?【ケンタッキー州竜巻ルポ】
My Devastated Neighborhood
でも母の家の近くまで来ると、もう倒木はない。道路に枝一本すら落ちていない。私の家からたった1キロ半余りなのに、電灯も明々とついている。まるで何事もなかったかのようだ。
近所の人が私に何事かと尋ねる。私は聞き返した。何が起きたか、本当に知らないんですか?
私の町は竜巻に襲われたんです。死んだ人もいます。いくつも家がつぶれました。ここは停電もしてなくて、幸運ですね......。
一日中、そんなシーンが繰り返された。同じ郡に住む別の友人は、彼女が電話に出ないことを心配した元夫が午後2時に玄関のドアをたたくまで何も知らなかったという。
車に乗せてくれた友人は、そろそろ高齢の母親の元に戻らなければならない。
そこへ保険代理店の仕事をしている別の友人が、出勤途上の車で寄ってくれた。また別の隣人は、鳴り続けるアラームを調べるのに付き合ってくれた。
そしてまた別の友人が、車で私を拾ってくれた。親しい近所付き合いのできる街に住めるのは幸せだと、ずっと前から思っていたが、今はその幸せを実感できる。
家に戻り、私は夫に抱き付いた。私たちはラッキーだった。あの竜巻に見舞われても、まだ生きているのだから。
2人で一緒に近所を見て回った。もうボランティアの人が来ていた。何十人もいた。
頼もしい助っ人たち
一晩で急に冷え込んだから、みんなニット帽や厚手のシャツを着込んでいた。片付けの道具をたくさん持ち込み、ピザやサンドイッチも持ってきてくれた。
地元のビール会社は被災者に、タコスやハンバーガーなどを無料で提供するという。
ボランティアは土曜日も日曜日も、休まずに働いてくれる。倒木をどかし、折れた木の幹や枝を切り、瓦礫を撤去し、穴を埋め、停電している住宅の人たちに食料を配る。
材木工場のような音がし、焚き火をしているような匂いが立ち込める。みんな普段と違う暖房の熱源に頼る。
週末のうちに、ほぼ全ての住宅の道路脇に木材などが山と積まれ、交差点には充電できる場所とコーヒーをもらえる場所ができた。
停電は続いているが、近くの町から電力会社が新しい電柱を運んできた。作業員は夜遅くまで働く。
ついに母と電話が通じた。母はろうそく工場やアマゾンの配送センターについて聞いてきた。でも私には何も分からない。報道に触れていないから、情報がない。