ドイツ、ワクチン接種をめぐる「市民戦争」 フェイクニュースはなぜ広まるのか
ワクチン接種にまつわる政治家の嘘
政治家の嘘も大きな問題だ。ドイツ極右政党AfD代表の一人アリス・ワイデルは8日、テレビで「集中治療室にいるのはほとんどがワクチン接種者だ」と発言した。連邦統計局DestatisはTwitterで直ちにこれに反論、入院患者のワクチン接種状況に関するデータはないとし、またターゲスシュピーゲルはロベルト・コッホ研究所RKIのデータを引用、11月の集中治療室患者18歳〜59歳の598名中ワクチン完全接種者はわずか94名、60歳以上では1119名中498名としている。免疫効果の早く衰える60歳以上ではワクチンによる差は大きくはないが、60歳以下では一目瞭然だ。さらにソースはどこかというドイツ通信社の質問にワイデルは答えず、のちに広報がソースなしとの回答をしている。Twitterでは#WeidelLuegt「ワイデルは嘘をつく」がトレンド入りした。
一般市民の憤りや苛立ちが募る
もちろん、健康上や何らかの理由でワクチンを受けない、受けられない人もいる。極左の反ワクチン主張も似たようなものだという指摘もある。ただし、ワクチン接種率・感染率・AfD支持率(反ワクチン派の支持が高い)の明確な関連性がすでに多方面で証明されている以上、どこに問題があるかは明白だ。また、SNS上の過激な言論がじわじわと現実世界に広まりを見せている中、ルールを遵守してきた一般市民の憤りや苛立ちも募っている。