今のアメリカに民主主義サミットを開催する資格があったのか(米スレート誌)
REAL LESSON OF THE SUMMIT
再び世界のロールモデルに
プーチンと習は、招かれなかったことにいら立っているらしい。その点は注目に値する。
中国国務院はサミット開幕の直前に、「中国の民主」と題する白書を発表した。この中で、アメリカは民主主義の手本として失墜し、中国こそが輝かしい手本だと「再定義」したことからも、習の憤慨がうかがえる。
もしもこのサミットが中国の指導部に対し、その言動について民主主義的な根拠を示すよう迫ったり、中国国内での政権批判を活性化できれば、サミットは何らかの利益をもたらすことになる。
1975年のヘルシンキ合意は、人権に関する条項が「文言は立派だが実質的な効果はない」と批判された。
だがいま思えば、この合意はロシアの反体制派を強化・正当化し、ソ連の崩壊に一定の役割を果たした。
しかしソ連崩壊に大きな影響を及ぼした要素が、もう1つあった。それはアメリカと西側諸国の民主主義による繁栄のイメージだ。
ニュースサイトのポリティコは、イランやポーランド、インドなど民主主義の存続が危ぶまれる国々の専門家や活動家18人に、それぞれの国の民主主義を支えるためにバイデンは何をすべきか尋ねた。
大半の答えは以下のようなものだった──説教は要らない、国内の問題に対処しろ、そして再び世界の模範になれ。
バイデンは民主主義サミットの冒頭の演説で、1年後に再びこのサミットを開きたいと述べた。だが彼がそれよりも注力すべきなのは、アメリカの民主主義が1年後も存続しているよう努めることだ。
国民の求めていることと政府の政策の結び付きを強めるために、バイデンは行動すべきだ。アメリカを再び世界の、そして私たち自身のロールモデルとするために。
©2021 The Slate Group
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