最新記事

殺人事件

最新のDNA鑑定でジョンベネ事件を再捜査? 警察が検討

Police Examine DNA Testing as Tool to Help Find JonBenét Ramsey's Killer 25 Years Later

2021年12月22日(水)15時43分
アユミ・デービス
ジョンベネ

美少女コンテストの常連だったジョンベネの死はアメリカ最大のミステリーの一つ ABC/YouTube

<ジョンペネ殺害事件から間もなく25年。この間に収集した1000件近いDNAサンプルを今の技術で調べれば、新事実がわかるのではないか>

コロラド州ボルダーの警察は現在、25年前に起こった殺人事件の犯人の特定に、DNA鑑定が役立ちそうか検討している。当時6歳で美少女コンテストの常連だったジョンベネ・ラムジーが殺害された事件だ。

ジョンベネの命日を数日後に控えた12月20日、ボルダー警察は声明を発表し、州の捜査当局とともに「進歩したDNA鑑定」に注目していると述べた。

「われわれは捜査に新技術を導入し続けており、その一環として、最新のDNA鑑定をこの事件に適用できるかどうかを検討している」と声明には書かれている。

1996年の12月26日、殴打され、首を絞められたジョンベネの死体が自宅地下室で発見された。その数時間前、ジョンベネの母親から警察に、娘が行方不明で、身代金を要求する手紙が発見されたという通報があった。事件は殺人と判断されたが、いまだに容疑者は起訴されていない。


捜査当局は近年、事件現場で採取されたDNA型を利用することで、未解決事件の容疑者を次々と特定している。

約20年の間を置いて失踪した2人の人間を殺した罪で起訴されていたオレゴン州の男も、DNA鑑定の結果、1999年に失踪した男の死に関係していることが判明した(容疑者は無罪を主張している)。

両親の濡れ衣は晴れたが

ただし、DNA鑑定がジョンベネ事件に適用されるかどうかはまだ不明だ。捜査当局はジョンベネ事件で1000近いDNAサンプルを収集し、分析している。最新の鑑定方法でそれらを再調査することで、新事実が見つかる可能性があるかもしれない。

2008年、ジョンベネの衣服から新たに発見されたDNAを調べた結果、両親のジョンとパッツィーや、兄のバークではなく、「正体不明の第三者」が殺害に関わっていることが判明した。パッツィーは2年前にがんで死去していたが、当時の地方検事メアリー・レイシーは、世間から真犯人と疑われたこともあった家族の潔白を明言し、ラムジー夫妻を「この犯罪の犠牲者」と呼んだ。

声明によれば、捜査当局はジョンベネ事件で1000近くのDNAサンプルのほか、少なくとも2万1016点の情報、手紙、電子メールを受領、確認または調査している。捜査官はこれまでに19州を訪問し、1000人以上と面談または会話した。

ジョンベネは有名人だったため、警察の初動捜査のまずさは世間の批判にさらされた。

美少女コンテストで撮影されたジョンベネの映像が報じられたこともあって、この事件は米国で最も注目されたミステリーの一つとなり、ノンフィクション本や特集番組が相次いで発表された。

本記事の執筆にあたっては、AP通信から情報提供を得た。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中