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サウジアラビア

フェイスリフトやボトックス、ラクダ美人コンテストでプチ整形発覚、大量失格に サウジ

2021年12月14日(火)17時50分
青葉やまと

賞金75億円のラクダ美人コンテストで整形発覚で、40頭以上が失格に  REUTERS/Faisal Al Nasse

<75億円相当の賞金をかけたコンテストで、不正が発覚。顔立ちやコブの形状、首筋の美しさなどが審査対象となるのだが......>

サウジアラビアで今月開催されたラクダの美人コンテストにおいて多数の整形が発覚し、多くのラクダが失格となった。

コンテストの審査員たちはラクダを美的観点から採点することになっており、ラクダ自体としては顔立ちやコブの形状、首筋の美しさなどが審査対象となる。このほか装いにも得点が与えられ、衣装の着こなしや立ち姿などが評価される。

評価ポイントをより多く稼げるよう、失格となったラクダたちにはボトックス注射などが用いられていた。人間用のいわゆる「プチ整形」にも用いられ、シワを目立たなくする手法として活用される。ラクダの場合は頭部を大きくみせる目的で使われることがある。

そのほかの不正としては、ホルモン剤による筋肉の増強や、コラーゲンなど充填剤の皮下注入などが施されていた。より直接的な加工として、体をゴム紐で縛って筋肉の隆起を強調する、あるいは皮膚を引っ張って長くするなどの細工がみつかっている。

このようなラクダの改変は禁じられているが、毎年不正が絶えないことから対策が課題となっている。AP通信によると国営のサウジ・プレス・エージェンシーは、当局が「専門的かつ高度な」技術を利用して改変を検出していると述べ、取り締まりを強化しているとけん制した。

砂漠に欠かせない、ラクダフェスティバル

ラクダの美人コンテストは、首都リヤド郊外の砂漠で開催される祭典「キング・アブドゥルアジーズ・キャメル・フェスティバル」のメインイベントとして親しまれている。羊とラクダの放牧で知られるベドウィン族の伝統文化を保存し、また、サウジアラビアの重要な観光資源であるラクダ産業を活性化する役割を担う。

ブリーダーのなかでもとくに美しいラクダの繁殖実績をもつ者のみが招待され、賞金として約75億円が用意される。祭りはコンテストのほかに、物販やラクダレース、そして多数のヒトコブラクダの展示などで賑わう人気イベントだ。

砂漠地帯ではラクダイベントへの関心が高く、同種の祭典がいくつか実施されている。アルジャジーラによるとサウジアラビア以外でも、西アフリカのニジェールで9月、3日間にわたる遊牧民の祭りが催された。参加者たちの興奮がピークに達するラクダレースでは、10歳の少年が騎手を務めるラクダが優勝を勝ち取った。少年は3歳のときからラクダを乗りこなしているという。

競技用ラクダのオーナーとして名高いカミッド・エクウェル氏はアルジャジーラに対し、「ヨーロッパにサッカーがあるように、ここにはラクダレースがあるのです」と語った。

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