ミャンマー、軍政と反体制派がSNS上で「情報戦争」 国民の心つかむのはどちらか
2021年に入ってからのSNS投稿数千件をロイターが検証したところ、約200人の軍関係者が、フェイスブック、ユーチューブ、ティックトック、ツイッター、テレグラムなどのサイト上で、個人アカウントを使って、選挙における不正行為を告発。反クーデター派の抗議参加者を、裏切り者として非難するメッセージや動画を定期的に投稿していた。
100件以上の事例では、メッセージや投稿が数分以内に数十の模倣アカウントによってそのままシェアされ、複数のオンライングループや、国内のセレブやスポーツチームの応援チャンネル、ニュース配信を装うチャンネルでもシェアされていたことが、フェイスブック傘下のオンライン追跡ツール「クラウドタングル」のデータによって明らかになっている。
多くの場合、投稿は軍事政権に反対する人々を「国家の敵」「テロリスト」呼ばわりし、国軍、国家、仏教の破壊を望んでいるなど、さまざまな表現を使っている。
反政府活動家の多くも似たような手法をいくつか使っている。「クラウドタングル」による検証や、反政府活動に参加する4人の情報提供者によれば、複数のアカウントを作成して「ツイッターチーム」を数十万人規模に膨らませ、反軍事政権のハッシュタグでトレンドを生み出している。
こうした戦術は世界中で一般的に見られるが、ロイターが取材した4人の研究者によれば、ミャンマーでは特に強い影響を発揮する可能性があるという。というのも、国民が情報のほとんどを既存の報道機関から直接ではなくSNS経由で入手しており、人口の半分以上がフェイスブックを日常的に利用しているからだ。
FBは偽装アカウントを「積極的に削除」
国連によれば、クーデター発生以来、「タッマドー」は1000人以上の民間人を殺害、数千人を拘束している。ただし国軍側は、この推定値は誇張されており、反政府勢力によって殺害された兵士もいると主張している。
フェイスブックで新興市場諸国・アジア太平洋地域における公共政策担当ディレクターを務めるラファエル・フランケル氏は、ミャンマーにおけるフェイスブック上でのヘイトスピーチの約98%を「先手を打って」検知し、削除したとロイターに語った。
フランケル氏は、国軍が偽装アカウントの使用を続けていることに関する質問に対し「当社は『タッマドー』のアカウントを停止し、共謀による不適切な行動を繰り返し阻止した。これにより、当社のサービスを悪用して害をもたらすことは、以前よりも困難になっている」と説明している。
「これは非常に敵対的な問題であり、システム的に大規模なアカウント停止措置を適切に実施できるよう調整に努めている」という。