バイデン政権、南北朝鮮の「終戦宣言」に舵切る 文政権と連携
Biden Commits to North Korea Peace as U.S., South Korea Discuss Ending War
2018年4月の南北首脳会談の際に笑顔で握手を交わした金正恩(左)と文在寅 Korea Summit Press Pool/Pool via Reuters
<これまで何度も提案されながらも実現しなかった終戦宣言に向け、アメリカ・韓国・中国・北朝鮮の思惑が一致し始めた?>
ジョー・バイデン米政権は、朝鮮戦争の「終戦宣言」の可能性を探る議論を韓国と進めており、それを通じて北朝鮮との和平達成を目指している。
韓国・統一省のある当局者は本誌に対し、アメリカと韓国の間で話し合いが進められていることを認めた。この人物はまた、具体的な時期は明かさなかったものの、この問題については以前にアメリカと北朝鮮の間でも議論が行われたと述べ、「アメリカと韓国との話し合いがまとまれば、北朝鮮と改めて協議を行って、問題解決の道が見えてくるだろう」と語った。
アメリカと北朝鮮は、ドナルド・トランプ前政権時代に前代未聞のレベルの対話に乗り出した。2018年には韓国と北朝鮮の間で3回の首脳会談が行われ、また史上初の米朝首脳会談が行われた。さらに翌2019年には再び米朝首脳会談が行われ、夏には米朝韓3カ国の国家元首による会合が行われた。
この頃に、朝鮮戦争をきっぱりと終わらせる和平条約も提案されていた。アメリカが支援する韓国と、中国およびソビエトが支援する北朝鮮が戦った朝鮮戦争では、1950年から1953年までの戦闘の後に休戦協定が締結された。だが戦闘行為が停止しただけで正式な和平協定は結ばれておらず、厳密には現在も戦争状態が続いている。
任期切れを控えた文在寅の狙い
バイデン政権のある高官は、先日ウェブメディアのポリティコが報じた米韓協議については直接言及しなかったものの、バイデン政権として、引き続き南北朝鮮との和平を追求していく考えを改めて示した。
この高官は本誌に対して、「アメリカは今後も、北朝鮮との対話および外交努力を通して、朝鮮半島の恒久的な和平実現に注力していく」と述べた。「我々は今も、北朝鮮と外交的に関与する準備がある」
(前述した)韓国統一省の当局者は、終戦宣言を目指す動きは、2022年5月に任期満了を迎える韓国の文在寅大統領の政治目標に沿ったものだという証拠を示した。
「韓国政府は、朝鮮戦争の終戦宣言を推し進めることで、68年間に及ぶ異常な休戦状態に終止符を打ち、停滞している朝鮮半島の非核化交渉を再開させることを目指している」とこの高官は述べた。
朝鮮戦争を正式に終結させることが、当事者である各国にとって、ほとんど犠牲を払うことなく、より幅広い和平の枠組みを実現するための足がかりになり得るとも説明した。