世界に広がり始めたオミクロン株 リスクと今できることは?
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が最初に南アフリカで見つかった後、たちまち欧州やアジアに広がり、世界中で懸念が強まっている。ボストンの空港で11日撮影(2021年 ロイター/Brian Snyder)
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が最初に南アフリカで見つかった後、たちまち欧州やアジアに広がり、世界中で懸念が強まっている。変異カ所が非常に多く、感染力が高まる、あるいは感染やワクチンで獲得した免疫をすり抜ける能力が強化されるのではないかとの見方が背景にある。
オミクロン株の検出を受け、26日には複数の国が新たな渡航・入国制限を発表した。製薬業界は、自社のワクチンがなお有効かどうか急いで調査に乗り出している。
◎科学者が懸念する理由
世界保健機関(WHO)は26日、オミクロン株を「懸念すべき変異株」に指定。他の株よりも急速に拡大するかもしれないと警鐘を鳴らした。
世界ではなお、流行の主流はデルタ株で、米国では感染者の99.9%を占めている。ピッツバーグ大学医療センターのグラハム・シュナイダー博士によると、オミクロン株がデルタ株に置き換わるかどうかはまだはっきりしていない。
ただオミクロン株は、現在のワクチンが標的としている部分において30カ所を超える変異がある。南アでの新規感染者急増を主導している疑いも出ている。
コロンビア大学のデービッド・ホー教授(微生物学・免疫学)は、これまでに作製された抗体を含めて幾つかの新型コロナウイルスの治療手段がオミクロン株によって無効化される公算が大きいとの見方を示した。
一方、ファイザーの「パクスロビド」やメルクの「モルヌピラビル」といった開発中の抗ウイルス薬は、オミクロン株の中で従来と変異していない部分を標的にしており、ワクチンや感染による免疫が脅かされるとすれば、一段と重要性が増す可能性がある。
◎最大の疑問
科学者によると、オミクロン株が引き起こす症状を特定し、感染力の強さや既にどの程度拡大したかを把握するにはあと数週間が必要だ。
同じく南アで最初に発見されたベータ株など、他の変異株は最終的にデルタ株に置き換わったとの指摘も出ている。