最新記事

北朝鮮

北朝鮮国内で『イカゲーム』の違法コピーを販売した男性に死刑判決

North Korean Reportedly Sentenced to Death for Smuggling Copies of Netflix's 'Squid Game'

2021年11月26日(金)16時47分
ナタリー・コラロッシ
イカゲームのコスプレ

ハロウィンのイベントでイカゲームの衣装を着る人々(中国・北京) Thomas Peter-REUTERS

<2020年末に成立した「反動的思想・文化排撃法」により、違法コピーを入手して視聴した高校生たちにも終身刑などの判決が下された>

北朝鮮の男性が、韓国で制作されたネットフリックスの人気ドラマシリーズ『イカゲーム』の違法コピーを北朝鮮国内に密輸入し販売したとして死刑判決を受ける見込みだ、と報道されている。その行為が発覚したきっかけは、高校生数人が教室で『イカゲーム』を視聴している現場を押さえられたことだったという。

米政府系の「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が2021年11月23日に伝えたところによると、その男性は、中国で『イカゲーム』の違法コピーを入手し、北朝鮮に不正に持ち込んだようだ。違法コピーはその後、USBメモリやSDカードのかたちで、国内で販売されたとされている。

氏名非公表のこの男性は、死刑判決を受け、銃殺隊によって処刑されることになると報じられている。また、USBメモリを購入した高校生1人が終身刑の判決を受けたほか、視聴しているところが見つかったほかの6人には5年間の重労働が言い渡されたと、情報筋はRFAに語ったという。

高校生たちが通っていた学校の一部の教師と事務職員も、今回の件を受けて解雇されたという。これらの教師と事務職員についても、重労働に科せられるか、地方に追放されるかの処分が下される見通しとされている。

新法が未成年に適用された初のケース

北朝鮮では、2020年12月に「反動的思想・文化排撃法」が可決された。これにより、映画やドラマ、音楽、書籍などを国外から輸入して広める行為が禁じられた。この法律は特に、韓国やアメリカといった資本主義国家のコンテンツの拡散を防止するために設けられたものだ。違反者は、終身刑や死刑に処せられる可能性がある。

今回の一件は、可決されて間もないこの法律を、北朝鮮当局が未成年者に適用した初のケースとなった。RFAによれば北朝鮮当局は現在、北朝鮮国内の市場に出回っている海外メディア・コンテンツが入ったメモリ機器やビデオ、CDの排除に努めているという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

12月住宅着工戸数は前年比マイナス2.5%、8カ月

ビジネス

みずほ証の10ー12月期、純利益は4.4倍 債券や

ビジネス

アングル:中銀デジタル通貨、トランプ氏禁止令で中国

ビジネス

日本製鉄、山陽特殊製鋼を完全子会社に 1株2750
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中