北朝鮮国内で『イカゲーム』の違法コピーを販売した男性に死刑判決
North Korean Reportedly Sentenced to Death for Smuggling Copies of Netflix's 'Squid Game'
ハロウィンのイベントでイカゲームの衣装を着る人々(中国・北京) Thomas Peter-REUTERS
<2020年末に成立した「反動的思想・文化排撃法」により、違法コピーを入手して視聴した高校生たちにも終身刑などの判決が下された>
北朝鮮の男性が、韓国で制作されたネットフリックスの人気ドラマシリーズ『イカゲーム』の違法コピーを北朝鮮国内に密輸入し販売したとして死刑判決を受ける見込みだ、と報道されている。その行為が発覚したきっかけは、高校生数人が教室で『イカゲーム』を視聴している現場を押さえられたことだったという。
米政府系の「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が2021年11月23日に伝えたところによると、その男性は、中国で『イカゲーム』の違法コピーを入手し、北朝鮮に不正に持ち込んだようだ。違法コピーはその後、USBメモリやSDカードのかたちで、国内で販売されたとされている。
氏名非公表のこの男性は、死刑判決を受け、銃殺隊によって処刑されることになると報じられている。また、USBメモリを購入した高校生1人が終身刑の判決を受けたほか、視聴しているところが見つかったほかの6人には5年間の重労働が言い渡されたと、情報筋はRFAに語ったという。
高校生たちが通っていた学校の一部の教師と事務職員も、今回の件を受けて解雇されたという。これらの教師と事務職員についても、重労働に科せられるか、地方に追放されるかの処分が下される見通しとされている。
新法が未成年に適用された初のケース
北朝鮮では、2020年12月に「反動的思想・文化排撃法」が可決された。これにより、映画やドラマ、音楽、書籍などを国外から輸入して広める行為が禁じられた。この法律は特に、韓国やアメリカといった資本主義国家のコンテンツの拡散を防止するために設けられたものだ。違反者は、終身刑や死刑に処せられる可能性がある。
今回の一件は、可決されて間もないこの法律を、北朝鮮当局が未成年者に適用した初のケースとなった。RFAによれば北朝鮮当局は現在、北朝鮮国内の市場に出回っている海外メディア・コンテンツが入ったメモリ機器やビデオ、CDの排除に努めているという。