石油国家備蓄放出でもガソリン価格が下がりそうにない理由
Biden's Use of Oil Reserves Likely Too Little, Too Late for Thanksgiving Gas Prices
23日の演説で石油備蓄の放出を発表したとき、バイデンも同様の懸念に触れた。
「元売り市場のガソリン価格はここ数週間で約10%下落したが、ガソリンスタンドでの店頭価格はまったく下がっていない」と、バイデンは言った。「元売り各社がそれだけ余分に儲けている。原油価格の下落はガソリンスタンドに来る消費者の利益にはつながっていない」
「石油の元売り各社は差額を利益としてポケットに入れている。それは容認できない」と、バイデンは述べた。「だから、アメリカ国民にとってガソリン価格が公正なものになるように、米連邦取引委員会(FTC)に対し、石油・ガス業界における違法かつ反競争的とみられる行動が消費者価格の上昇を引き起こしているかどうか調査を求めている」
実質的にFTCがなんらかの行動をとるまでには数週間かかりそうだ。石油備蓄の放出はそれまでの間に、消費者にとって短期的な救済となるような気がするとグラッデンは言う。
「すでに市場は備蓄の放出を織り込み済みなので、今週末までにいくつか小さな変動が現れると思う」と、彼は予測する。「そして来週月曜日、感謝祭の連休が明けてすべてが平常に戻った時には、ガソリン価格は確実に下がっているだろう」
「とはいえ、どの程度の下落になるだろうか。昨年のホリデーシーズン並みの価格を期待すべきではないと思う」と、グラッデンは続けた。
一時しのぎに過ぎない
実際にガソリン価格が下がれば、「大統領がとった行動に効力があったことになる」とデ・ハーンは語る。それでもバイデンは、「より短期的に解決を図るために、長期的な解決を犠牲にしたかもしれない」とも言う。
「価格を下げたいというバイデンの言葉に嘘はないと思う」とデ・ハーンは言いつつ、備蓄に手をつける計画は「すぐには解消できない問題に対する一時しのぎにすぎないだろう」と言う。
バイデンは23日に、ガソリン価格変動との戦いは今後も続くと語り、国民に忍耐を求めた。
「われわれの共同作戦で、ガソリン価格高騰の問題が一夜にして解決されるわけではないが、状況は改善されるだろう。時間はかかるが、やがて国民が車にガソリンを入れる際に、価格の下落を実感するときがくるはずだ」とバイデンは語った。
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