台湾防衛? バイデンの「火遊び」に肝を冷やすワシントン
China Urged Republicans to Cancel Taiwan Visit
カーネギー国際平和財団の上級研究員であるスティーブン・ワートハイムは、フォーリン・ポリシー誌に宛てたツイッターのダイレクト・メッセージの中で、「既存の戦略的曖昧政策はアメリカと台湾にとってうまく作用してきた。少数の共和党議員団による今回の台湾訪問は、その戦略的曖昧政策を骨抜きにし、現状維持を脅かす動きのひとつに思える」と指摘した。「台湾防衛を訴える議員たちは、地元選挙区に戻って有権者に尋ねてみるべきだ。アメリカが自国民の命と繁栄を大きく損なう危険を冒して、世界第2位の大国に戦争を仕掛けるようなことが、本当にアメリカの利益になるのかと」
アメリカの代表団による非公式な台湾訪問は、ドナルド・トランプ前政権時代から複数回にわたって行われており、中国軍はこれを「現状を悪化させようと狙う米政府の試み」と解釈しているようだ。また米国防総省は、中国の習近平国家主席が任期を延長するのは台湾問題を解決(つまり台湾統一)することが狙いだと見ている。
米軍特殊部隊と米海兵隊を台湾に派遣
さまざまな議論はあるが、上院民主党のある側近はフォーリン・ポリシーに対して、バイデン政権は、戦略的曖昧政策を変えるようにという深刻な圧力は一切感じていないと語った。民主党内の進歩主義者たちは同政策の維持を強く求めており、また中国による台湾侵攻を阻止するために、バイデンが米軍を投入するのは回避したいと考えている。
「そのような関与は避けるのが賢明だと思う。我々にはその目的を果たす準備ができていないからだ」と前述の側近(匿名希望)は述べた。「我々が総力を挙げて中国の台湾侵攻を阻止するかのように振る舞うのはやめよう。一方でアメリカは、台湾の自衛を積極的に支援する。そのことを明確に示していくべきだ」
だが連邦議会の進歩主義者たちはそれでも、台湾問題については、武力に基づく威嚇的な姿勢がワシントンの新たな常識になるだろうと懸念している。「進歩主義者たちが目指すのは、『誰が中国に対してより強硬姿勢を取れるか』というようなお決まりのくだらない議論に巻き込まれずに、いかにしてこの問題についての賢明な議論を行うかということだと思う」と、前述の上院民主党の側近は語った。
だが一部党内の不安の声をよそに、バイデンはトランプ前政権に続いて、米軍特殊部隊と米海兵隊を台湾に派遣している。これらの部隊は、台湾が中国による侵攻の脅威を阻止する準備を行い、中国軍が上陸を果たした場合には武力での抵抗を続けるための手助けを行っている。米国防総省の国防人員データセンターによれば、6月時点で現役勤務部隊30人と国防総省の文民スタッフ15人が台湾で任務に就いていたということだ。