「消えた」香港人著名活動家は中国が仕掛けたハニートラップの犠牲者か
Chinese Honey Trap Rumor Fuels Hong Kong Paranoia As Activist 'Disappears'
ウォンはラムが語った電話でのやり取りを否定した。「ラムのことはよく知らない」と、ウォンは言う。「突然、電話をかけてきて、いくつか、とても奇妙なことを聞かれた」
「あれはロックダウンの最中か、ロックダウン解除の直後だったと思う。だから私は電話の代わりにズーム会議を提案した。なぜ彼が会って話をしたがったのか、私にはわからなかった」
「私は電子メールを送って、連絡先の詳細を伝えた。ところが、返信はなかった。このいきさつから、変な人だと思った」
ウォンは現在の居場所は明かせない、と本誌に語り、ロンドンにはいないことだけは明らかにした。
ウォンのフェイスブックは何カ月も動きのないままだったが、最近になって新しい写真が数枚投稿された。そこには新しい家族と楽しそうにポーズをとるウォンの姿が写っていた。そのうち一枚は、イギリスのプロサッカークラブ、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地であるイギリス北部の都市の、サッカースタジアムの外で撮影されたものだった。
ウォンと数年前に知り合い、かつては一緒に働いたこともある匿名の人物は本誌に、ウォンがソーシャルメディアから離れたことに驚いたと語った。
「彼は長い間フェイスブックを更新しなかった。それはとても珍しいことだ」と、この人物は言う。「私はいろいろな人に声をかけて、ケネスがどこにいるのか知っているかと尋ねた。誰も、何の手掛かりも持っていなかった」と、この人物は言う。
「ケネスがどこにいるのかを、本気で調べようとしている人はいないと思った。それ以上踏み込んだら、危険があるかもしれないことを誰もが知っていたからだ」
家庭生活も恐喝する共産党
香港の活動家と緊密に協力してきたあるジャーナリストは匿名で、関係者は疑念を抱いていると語った。「イギリスにいる活動家の多くは、この問題を本当に心配している」と、彼は言う。
「なかには、ハニートラップだと本気で信じ込んでいる人もいる。もちろん、男女の間にはよくある問題だと考えている人もいる。それでも、しばらくの間、ケネスとは距離を置くべきだと確信している。うさんくさい話だからだ」
「彼らには、中国共産党は全力で活動家のサークルにスパイを送り込もうとしているという共通の認識がある。だから、ハニートラップの可能性を否定することができない」
「ウォンがハニートラップにはまった可能性を排除することはできない」と、ラムは言う。「中国共産党が人の家庭生活を恐喝に利用することは、目新しい話ではない。少なくとも1960年代から使われてきたやり方だ」
ネットメディアのアクシオスは2020年に、クリスティーン・ファン(別名ファン・ファン)という女性が主導した中国のハニートラップ作戦疑惑を暴いた。ファンはカリフォルニア州をはじめ全米各地で国政に影響を与えそうな新進気鋭の政治家と親交を結んだ。
ファンは少なくとも中西部の市長2人と性的関係にあった、とアクシオスは報じた。彼女のネットワークに「取り込まれたのは、国家機密に関わる立場の人間だった」と、ある米情報当局者はアクシオスに語っている。