フィリピン軍、反政府組織NPA司令官を殺害 報復攻撃に警戒、治安当局が呼び掛け
フィリピン軍に殺害された反政府組織「フィリピン共産党(CPP)」の武装部門「新人民軍(NPA)」の最高幹部ジョージ・マドロス司令官 GMA Regional TV / YouTube
<反政府組織の司令官の死は平和を意味するのか、それとも......>
フィリピン軍は10月30日、南部ミンダナオ島で反政府組織「フィリピン共産党(CPP)」の武装部門である「新人民軍(NPA)」との戦闘があり、最高幹部の一人で全国作戦司令部のジョージ・マドロス(別名カ・オリス)司令官を殺害したことを明らかにした。
30日午前、南部ミンダナオ地方のブキドノン州でNPAが住民に対して工作活動をしているとの情報を得て、陸軍の部隊が急きょ現地に向かい、戦闘になったと地元メディアなどは伝えた。
マドロス司令官は比共産党の統一戦線組織である「民族民主戦線(NDF)」のミンダナオ方面担当スポークスマンも兼務していた最高幹部の一人。NPAにとっては大きな痛手となり、軍にとっては大成果を上げたことになる。
軍のラモン・ザガラ報道官は10月31日に「マドロス司令官の死はNPAの今後の活動に大きな影響を与えることは間違いなく、国民に対するNPAのテロ活動は大きく変化することになるだろう」との見方を地元紙に明らかにした。
そのうえで治安当局は今後NPAによる報復攻撃の可能性があるとして、全国での警戒を呼び掛ける事態となっている。
攻撃には戦闘機も参加
地元紙などによると軍とNPAとの戦闘は、駆け付けた軍部隊が約30人のNPAメンバーに対して攻撃しようとしたところ、前面に地雷原があったため急きょ戦闘機を参加させて上空から先制攻撃を行ったとしている。
その後部隊が前進したところNPAのメンバー2人の遺体を発見し、ライフル銃などの武器を押収した。そして遺体の一人がマドロス司令官と判明し、その地面に横たわる遺体の写真が地元紙では生前の活動中のマドロス司令官の写真と並べて掲載された。
軍によるとマドロス司令官はこれまで兵士や民間人対象に複数の殺害事件や器物損壊、強盗などの犯罪に関与しており、治安当局から重要人物として手配され、行方を追われる身だったという。
ザガラ軍報道官はNPAの残る幹部やメンバーに対して「国の平和と安定のために降伏するよう勧告する」として投降を呼びかけた。