袋詰めにされた犬53匹を救出 食肉処理される寸前だった
世論調査では9割以上が犬肉禁止を支持しているが…(写真はイメージです) Gilitukha-iStock
<インドネシアで違法な犬肉取引業者が摘発され、トラックの荷台からは飼い主の元から盗まれた53匹の犬が見つかった>
違法な犬肉処理場に到着したトラックに積み込まれていた53匹の犬が、警察と動物愛護団体によって救出された。インドネシアで撮影された凄惨な映像が波紋を呼んでいる。
ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)の声明によると、ほとんどが盗まれたペットで、袋に入れて縛られており、なかには口が開けられないように縛られた犬もいたという。多くの犬はやせ細っていた。
11月24日未明、犬たちを乗せたトラックがジャワ島中部スコハルジョ県にある屠殺場に到着したところで捕まった。警察は事前に島内の犬の密売組織に潜入。20年以上にわたって犬肉取引の中心的存在だった業者を逮捕するため、違法な屠殺場を捜査していた。
犬や猫の食肉取引禁止運動を全国的に展開するドッグ・ミート・フリー・インドネシア(DMFI)の活動家も現場に駆けつけ、犬たちを救出した。残念ながら1匹は、過酷な旅の途中で命を落としたという。
DMFIのローラ・ウェバーは、犬たちが極度のトラウマを抱えていたと述べている。
「犬たちはトラックの荷台に乗せられ、頭を殴られたり、喉を切られるといった最も恐ろしい旅に耐えてきた。彼らがこらえてきた恐怖を思うと、ただただ打ちのめされる」
生き残った犬たちは応急処置を受けた後、一時的な保護施設で健康を取り戻すためのケアを受ける。団体はできるだけ飼い主との再会を目指しているが、成功の可能性は低い。
取引禁止への転機に
世論調査によると、インドネシア国民の93%が犬肉の全国的な禁止を支持しており、犬肉を食べるという人はわずか5%程度にとどまった。インドネシア政府は犬肉売買を取り締まると約束しているが、明確な禁止令を出しているのはスコハルジョ県をはじめとするいくつかの地方自治体だけだ。
当局の対応に「非常に感謝している」とウェバーは語る。
今回の摘発が他の業者に対しても強いメッセージとなり、全国的に取引を禁止するための転機となることをDMFIは期待している。