最新記事

動物

袋詰めにされた犬53匹を救出 食肉処理される寸前だった

2021年11月30日(火)12時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
犬

世論調査では9割以上が犬肉禁止を支持しているが…(写真はイメージです) Gilitukha-iStock

<インドネシアで違法な犬肉取引業者が摘発され、トラックの荷台からは飼い主の元から盗まれた53匹の犬が見つかった>

違法な犬肉処理場に到着したトラックに積み込まれていた53匹の犬が、警察と動物愛護団体によって救出された。インドネシアで撮影された凄惨な映像が波紋を呼んでいる。

ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)の声明によると、ほとんどが盗まれたペットで、袋に入れて縛られており、なかには口が開けられないように縛られた犬もいたという。多くの犬はやせ細っていた。

11月24日未明、犬たちを乗せたトラックがジャワ島中部スコハルジョ県にある屠殺場に到着したところで捕まった。警察は事前に島内の犬の密売組織に潜入。20年以上にわたって犬肉取引の中心的存在だった業者を逮捕するため、違法な屠殺場を捜査していた。

犬や猫の食肉取引禁止運動を全国的に展開するドッグ・ミート・フリー・インドネシア(DMFI)の活動家も現場に駆けつけ、犬たちを救出した。残念ながら1匹は、過酷な旅の途中で命を落としたという。

DMFIのローラ・ウェバーは、犬たちが極度のトラウマを抱えていたと述べている。

「犬たちはトラックの荷台に乗せられ、頭を殴られたり、喉を切られるといった最も恐ろしい旅に耐えてきた。彼らがこらえてきた恐怖を思うと、ただただ打ちのめされる」

生き残った犬たちは応急処置を受けた後、一時的な保護施設で健康を取り戻すためのケアを受ける。団体はできるだけ飼い主との再会を目指しているが、成功の可能性は低い。

取引禁止への転機に

世論調査によると、インドネシア国民の93%が犬肉の全国的な禁止を支持しており、犬肉を食べるという人はわずか5%程度にとどまった。インドネシア政府は犬肉売買を取り締まると約束しているが、明確な禁止令を出しているのはスコハルジョ県をはじめとするいくつかの地方自治体だけだ。

当局の対応に「非常に感謝している」とウェバーは語る。

今回の摘発が他の業者に対しても強いメッセージとなり、全国的に取引を禁止するための転機となることをDMFIは期待している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中