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アフガニスタンタリバンまた蛮行。結婚式の音楽を咎め発砲、3人死亡
Afghanistan Wedding Ends With Alleged Taliban Gunning Down Guests Due to Music Being Played
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タリバン政権が崩壊したときは、音楽や演劇も一時自由になったが(02年1月、カブールの劇場で花嫁を演じる俳優) Erik de Castro-REUTERS
<「歌舞音曲はイスラムの教えに反する」という偏った解釈を今も信じる戦闘員たち>
アフガニスタン東部ナンガハル州で29日、結婚式に集まった人々がタリバンの構成員と見られる男たちに銃撃され、3人が死亡し少なくとも10人がけがをする事件が起きた。地元の人々によれば、音楽を流すことの是非をめぐるトラブルが原因だという。
NBCニュースによれば、結婚パーティーで音楽を流していたところ銃を携えた男3人に難癖をつけられ、口論になった。地元の住民らによれば、男たちは地元のタリバンの構成員だという。
NBCに対し、地元住民の1人は匿名を条件に、「(3人の男は)結婚式を開いていた一族と地元住民に対して粗暴な態度で」音楽を止めるよう要求した。そして「言い争いが武器を用いた争いに発展し......発砲して3人を殺し、10人を負傷させた」という。
タリバンの報道官ザビフラ・ムジャヒドは、この3人がタリバンの構成員であることを否定しているが、音楽を巡る言い争いに端を発して事件が起きたことは認めている。ムジャヒドはまた、タリバンが容疑者1人を逮捕し、残る2人の逮捕に向けて捜査を行っていると述べた。
だがタリバンの情報部門の関係者は匿名を条件に、3人がタリバンの構成員だと語ったとNBCは伝えている。
タリバンは今年8月、米軍が撤退する中で実権を掌握した。1996〜2001年に政権を握った際にはイスラムの厳格な解釈の下でアフガニスタンを統治、女性の就学や就労を認めず、音楽やアートも公式に禁止された。
「無教養で視野の狭いタリバンの誤解釈」
現時点で公式な音楽禁止令が出ているわけではないが、ムジャヒドは8月、イスラム法では音楽は許されていないと述べ、かつての厳しい規制が復活する可能性を示唆した。
「音楽はイスラムにおいて禁止されている」とムジャヒドは述べた。「だが圧力をかけなくても、そうしたことをしないよう人々を説得できるだろうとわれわれは考えている」
歌舞音曲を禁じるタリバンの考え方の根拠となっているのは、予言者ムハンマドの言行録「ハディス」の中の「この世で音楽や歌を聞く者たちは、審判の日に溶けた鉛を耳から注がれることだろう」という記載だ。だが、世界中のイスラム教徒がこうした解釈に同意しているわけではない。
アフガニスタン国立音楽学校の創設者アフマド・サルマストはかつて、タリバンの音楽に対する考えはイスラム教への誤解から来ていると述べている。
「(タリバンは)無教養で視野が狭く、ほぼ字も読めないような人々で、イスラムのイデオロギーを誤って解釈している」と、サルマストは米誌フォーブスに述べている。「聖典コーランには、音楽をはっきり否定するようなことは何も書かれていない」
タリバンは8月にアフガニスタンの実権を取り戻した際、かつてとは異なるもっと柔軟な統治を行うとの姿勢を示していた。それから2カ月、タリバンが女性や地元のジャーナリストに暴力を加えたり、女性や少女たちの教育を制限したり、少数民族やアメリカに協力した人々を襲ったりした事例も繰り返し伝えられ、かつてのタリバン政権とほとんど変わらないのではとの懸念も出ている。
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